メルスィン県でトルコ初のロマ系市民向けラジオが開設された。アクデニズ・ロマ協会連合の傘下で設立され、開局式を経て放送を開始した「Radyo Romano Vast」の最初のゲストは、トルコ初のロマ系国会議員(CHP所属、イズミル選出)、オズジャン・プルチュ氏だった。
トゥルグト・レイス街区はロマ系市民が多くを占める。ここにある協会の建物でラジオ放送が始まることになり、開局式が行われた。式典には、オズジャン・プルチュ氏の他、アクデニズ・ロマ協会連合代表のアリ・ダイラム氏、ラジオ・パトリン(Radyo Patrin)の統括を務めるオルハン・ガルジュス氏、アクデニズ市副市長のベドレッティン・ギュンデシュ氏、そしてロマ系の市民らが参加した。式典で開会の言葉を述べたアリ・ダイラム代表は、トルコのロマ系の人々にとって1つの夢を実現させたとし、以下のように述べた。
「全く声を発しなかった、ないものとみなされていたロマ系の人々の声が、いまはある。Radyo Romano Vastがある。これから歩み寄りの声を上げ、大局観をもって社会をひとつにまとめ、この(ロマの)文化を広めようとする組織になっていくだろう。トルコには550万のロマ系市民が暮らしている。忘れかけられた、世界でも最も古い言語のひとつがここにある。この言語は今後も生き続けなければならない。これを、Romano Vastが保証していくのだ。」
■我々に平和を学んでほしい
オズジャン・プルチュ議員は、みながロマ系市民から学ぶたくさんのことがあると語る。
「なぜなら我々は1度も戦争をしたことがない集団です。領土のために1度たりとも争わなかった集団なのです。私たちに平和を学ぶと良いでしょう。我々は国家の管理下にも入りませんでした。最初の議員が私なのです。どうか誰も辛い思いをしませんように。争いなく、みなが自由に、兄弟のように生きられますように。Radyo Romano Vastは、この主体となるのです。我々の兄弟愛を、平和を形作るものを、このラジオから発していきます。」
今回のラジオ開設は歴史的な出来事だと述べたプルチュ議員は、また以下のように続けた。
「何千年もの間、この地で生きてきましたが、初めて私たちのラジオが出来ました。単なるラジオと言って済ませてはいけません。ラジオ1つが、人々の、子供たちの、そして社会の生活を変え得るのです。Radyo Romani Vastは、ロマ系の人々や我々の文化、そして我々の言語が何であるのかを伝える上で、大きく貢献することでしょう。ラジオの初回は私も一緒に放送しましたが、その際、若者が働いている姿を目にしました。ある若い女性はロマ語を話しながら司会をし、青年は機材を操作していました。これは我々の慣れていない事柄ですが、しかし非常に誇りを持たせてくれるものです。若者が、こういった現場で異なる世界に入っていくことは非常に重要です。ロマの人々が暮らす地区には、境界線が引かれていました、そして我々は、他の世界を知らないのです。」
■初回の生放送はプルチュ議員と
会見の後ラジオ局に移動した関係者らは、リボンを切って開会式典を執り行った。Radioromanovast.comで放送を開始したRomano Vastは、最初の生放送をプルチュ議員と共に行った。Radyo Patrinの監督を務めるオルハン・ガルジュス氏が行った放送はロマ語、英語、トルコ語で放送され、およそ30分の放送の最後にはロマ語の歌が流された。
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( 翻訳者:木全朋恵 )
( 記事ID:39986 )