■シリアのカギ
【アンカラ:ユースフ・シャリーフ】
トルコはシリア危機当初からシリア難民の問題に向き合ってきた。それは(シリアに)軍事介入を行い、バシャール・アサド大統領打倒を後押しするための人道的・政治的下地を整えるためであった。しかしその努力が失敗に終わった後、難民問題はトルコに経済的・政治的負担を負わせる難問となった。EUは再三にわたり(EU-トルコ間の)国境を封鎖するようトルコに強要してきた。EUがトルコの支援を要望・要請し、難民問題をその加盟国の同意と期待に優先させるようになればトルコにとっては採算が取れる話になる。しかし、トルコ政府はそのような状況の実現についてこれまで必ずしも楽観視はしてこなかった。
トルコはシリア北部に安全地帯を構築すべく、難民問題を利用して西欧諸国に圧力をかけようとしたが失敗に終わり、現在はヨーロッパ諸国が得をする一方で、自身は経済的困難の当事者となってしまった。
そして、人道的意義からその門が開かれた難民問題は、トルコの利益をめぐる(EUとの)政治的・経済的取引へと変貌した。例えば今後、トルコ国民のシェンゲン圏への入国がより容易になる予定であり、また、難民の居住環境改善と保護のためトルコはEUより二年間にわたり約60億ユーロの供与を受けている。更には、キプロスの拒否権のために凍結中のトルコのEU加盟交渉にも、今後新たな幕が上がる見込みである。
(後略)
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( 翻訳者:青木優奈 )
( 記事ID:40085 )