シリア:悲しみにくれ母の日を過ごす母たち
2016年03月22日付 al-Hayat 紙
アレッポ爆撃の後、子どもを抱きかかえるシリア人女性(AFP)
アレッポ爆撃の後、子どもを抱きかかえるシリア人女性(AFP)

■悲しみにくれ母の日を過ごすシリアの母たち

【ダマスカス、ロンドン:本紙】

多くの国が昨日(21日)、母の日を祝った。だが、シリア人の母の多くがこの特別な日を悲しく過ごした。母の日をまったく祝わない母もいた。彼女たちは、夫や息子、あるいは息子たちを失ったこと、そのなかの誰かが逮捕されたこと、あるいは娘が暴行されたことなど、家族を襲った悲劇を思い出すために、この日を過ごした。

ウンム・サーリフさん(60代)の境遇は言葉では表せない。彼女はホムス市内の地区に及んだ砲撃で、夫と2人の息子を亡くした。彼女は黒い服を身にまとい、目に涙を浮かべながらこう語った。「どんな祝日も…私にはありません」。彼女の周りに寄り添う近所に住む女性たちは、彼女を支えながらこう付け加えた。「『母の日おめでとうございます』と言う人はもういません」。

英国に本拠地を置くシリア人権監視団が先週発表したところによると、2011年3月半ばにシリア危機が発生して以降、27万3,500人が殺害された。一方、シリア国内で活動するシリア人権傷害記録センターは、シリア危機が6年目を迎えた現在、36万1,000人以上が殺害され、そのうちの23万5,000人以上が民間人だと指摘した。

ウンム・マフムードさんにとって、話はまた別である。街中で抗議デモが始まった5年前、彼女は息子を首都ダマスカスの街区で逮捕された。彼女は、息子の消息を今も一切知らない。彼女は悲しみで声を詰まらせながら言った。「息子がどこにいるか知るための手段を諦めずに探し続けています…。私の全財産、家さえも売り払いました。にもかかわらず、彼の消息さえも分かっていません…。私は、彼が生きているのか死んでいるのかを知りたいだけなのです。息子がいなければ、母の日などやって来るはずありません」。

ウンム・マフムードさんは悲しみのなか、紛争前の母の日を振り返って、こう言った。「何日も前から、息子が母の日のためにいてくれたことは幸せでした。母の日の特別な贈り物以外にも、食べ物の類い、果物やお菓子など、ないものを持ってきてくれました。今となっては誰が私を祝ってくれるでしょう…」。シリア人権侵害記録センターは政権に拘束された囚人が18万人にのぼり、そのほとんどが恣意的且つ不当に拘束されていると発表している。

ウンム・ラーミーさんの苦悩は異なる。子ども4人は兵役につく歳であったり、予備役として召集されていた。彼らは死を恐れて、すでに近隣諸国やヨーロッパ諸国へと移住した。ウンム・ラーミーさんは息子たちの写真を前に並べて言った。「こういう日には、皆が大家族だったこの家で私のところに集まって来て、みんなで母の日を盛大に祝いました。今はFacebookやWhat’s upで私を祝ってくれるだけです」。彼女はまた「子どもたちがいなければ、母の日の料理もご馳走もないのです」と付け加えた。

(後略)

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( 翻訳者:長谷川健司・青木優奈 )
( 記事ID:40119 )