■アルジェリアの「ラップ」…抵抗は政治の壁を飛び越える
【アルジェ:ファティーハ・ズィマームーシュ】
「大統領閣下・・・あなたの国には絶望があふれている」アルジェリア人のラッパー、ルトフィー・ドゥブル・カーヌーン氏のこの曲は、その始まりにおいてアルジェリアのアブドゥルアズィーズ・ブーティフリーカ大統領に対し、国民、とりわけ若者の要求に耳を傾けるよう訴えている。
曲のタイトルを見れば、政治的反対の意思表明のためのものだと思うだろう。大学を出て失業にうんざりしている人、子供を育てる権利を求める抑圧された女性、まともな生活を求める人、地方の飢えた人・・・彼らがこの曲を書いたのだ。かつて彼らは絶望に打ちひしがれ、10年以上に及ぶ血塗られたテロの戦火の中からやっとの思いで這い出した。そしてラッパーはアルジェリア政府をさらに強く批判するようになった。アルジェリア国民の手に希望を戻すよう、大統領に要求するためだ。ルトフィー氏は言う。「もう新しい火をつけたくはない。若者のメッセージに耳を傾けてほしい。」アルジェリア沿岸では、毎日数十人の絶望した若者がよりよい未来を求めてボートに乗り込む。北アフリカからヨーロッパへ向かう、「死のボート」だ。このことは絶望が頂点に達していることを示す証拠であると、彼は指摘している。
この曲は、変化を求めるアルジェリアン・ラップの数千曲の中の1曲だ。アルジェリアン・ラップは90年代からアラブ世界をけん引している。アラブの大勢のラッパーがこれに影響を受けた。アルジェリアン・ラップの火は、一度は弱まったものの、新しい世代の厳しい政権批判とともに2010年から再び燃え出した。中でもミスター・アーべー、ルトフィー・ドゥブル・カーヌーン、カリーム・ギャングの楽曲が目立っている。曲の中で彼らは、皮肉な言葉で体制批判を行っている。例えば議員が議会のことを、その「職位」を利用して特権を求める「理髪師」委員会と呼ぶ、といった風にである。
(後略)
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( 翻訳者:八巻葵 )
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