■警察官という「ほどけない問題」
【ムスタファー・ミリーギー】
賄賂を受け取り、不法な支払いを課し、不正をなし、腐敗している……。ハーリド・ユースフ監督の透徹な眼は、映画「カオス」のハーティム役を通じて、警察官の性質をこのように表現した。
映画から現実に至るまで、われわれは日々報じられるニュースに遭遇する。映画は現実をもとにしたものであるから、現実より闇が浅いかもしれない……。イムバーバ地区ではある警察官が精神障害を持つ女性の暴行事件に関与した。2ヶ月ほど前にはダルブ・アフマル地区において警察官がトゥクトゥク〔訳者注:自動三輪車を用いた運送業〕の運転手と運賃を巡って口論になり、相手を黙らせるために発砲して殺害した。また5日前には、警察官がリハーブ地区でお茶売りを殺害した。この事件はすでに大きな騒ぎを引き起こし、事件直後、大統領は内務大臣と警察幹部と会合を開き、事件の調査と根本的な治療法の提示、義務を怠った者の処罰を命じた。こうした最中、驚くべきことにまた別の警察官がハダーイク・クッバ地区でトゥクトゥクの運転手に発砲し、数名が負傷した。リハーブ地区の事件から4日もたたないうちのことである。
昨今これらの事件が繰り返され、その落胆が皆のものとなるにつれ、警察官はこれまで語られずにいた問題を明らかにしてしまった。その問題は、警察官と民衆の間の信頼の欠如に由来するものであり、それは警察官が民衆に対して行った数々の侵害行為の結果である。ゆえに問題は今日生じたものではない。すでに警察官が性的ハラスメントや拷問、暴行、強奪、詐欺の容疑者になる事件は数多く起きており、彼らは国家の制服に隠れて人々を貪ってきたのである。
これらすべての事件後、内務大臣には、警察官による市民の権利への侵害行為を制限する仕組みを作ることが課された。そのような侵害行為は数多く、頻繁に生じるようになっており、これを防ぐ手立ては何も存在していなかった。内務大臣広報・渉外担当補佐官のアブー・バクル・アブドゥルカリーム氏が明らかにしたところによると、内務省は勤務時間終了後と既定の休暇期間中、全警察官から武器を回収するという措置をとった。同様に内務大臣は、武器の所持を必要としない状況にある警察官全員に武器の返納を命じた。
しかし問いは残る……。どのようにして、この警察官という集団を、社会の人々との対応において、社会の役に立ち、権利を守る一員となるように改善し、改革していけばよいのだろうか?
(後略)
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( 翻訳者:須賀田三志朗 )
( 記事ID:40328 )