辞任のうわさに揺れるダヴトオール首相、党会議での演説を読む
2016年05月03日付 Milliyet 紙

アフメト・ダヴトオール首相は昨日、公正発展党党派会議にて注目のスピーチを行った。
というのもこれは4月29日に公正発展党中央決定運営委員会(MKYK)にて県・郡代表者の任命権が首相から委員会に移転することが決定して以来、首相が初めて行うスピーチであったからだ。

中央決定運営委員会の翌日には、SNSにダヴトオールとタイイプ・エルドアン大統領との間に深刻な溝が生じていることをうかがわせる文書が投稿され、政界のニュースの中で最大の関心事となっていた。
ダヴトオール首相は会場に向かう間微笑んでいたが、スピーチ中常にそうだったというわけではない。
簡潔に言ってしまえば、ダヴトオール首相は昨日の会議で政界に別れを告げたわけでも、挑戦状を突き付けたわけでもない。
一言で言えば、(公正発展党に)制約を課したのである。

■公正発展党員であるということ

ダヴトオール首相は、個人的なエピソードではなく「公正発展党員」であることの意味について演説した。公正発展党を巡る裁判、公正発展党が結党以来経験してきた闘争、そして公正発展党が高めていくべき価値基準について語った。
国会に詳しい人は知っていることだが、会派会議などでダヴトオール首相が行うスピーチの原稿は、中枢のチームによって用意される。
しかし最終的に原稿を完成させるのは首相自身である。
昨日のスピーチの大部分は、首相自身によって書かれたものであるとされている。
いくつかの即席の表現を除けば、昨日、首相はスピーチの文面から逸脱することはほとんどなかった。党派会議でのスピーチだけでなく、首相に就任してから今日までの間にダヴトオール首相が行ったスピーチの中で、最も短いスピーチの一つであった。

首相は、テロとの戦いや野党の政策や外交一般に言及しながら、それらを公正発展党の裁判や党をめぐる駆け引きに関連付けようとした。
ダヴトオール首相の表現をいくつか取り上げてみよう。
首相は、初めにエルドアン大統領が公正発展党の活動の先駆者であることを強調した。
そして公正発展党が多くの人々の支持によって存在していること、その存在は綱領や委員会や法に依存するものでないことを語った。
また、公正発展党の伝統と、公正発展党を公正発展党たらしめている特性について時間を割き、公正発展党とは「道徳的政治の本質である心や会話、いたわり、規律、コモンセンスの活動」であると述べた。
ディヤルバクルのサイト・パシャの例を借り、「正道から逸れることがありませんように。強者と対立しても、我々は決してこの共通の原則を曲げない。この国や国民に、我々を我々たらしめている価値基準に背くようなことはしない。背く者は許さない」と述べた。

(中略)

■協調と責任

昨日の首相のスピーチは、私が抜粋した部分だけでなく多くの部分が報じられるであろう。
しかし首相がスピーチを本当に聞かせたかった相手は公正発展党の党職員たちである。
首相ははっきりこうした言葉を用いなかったが、次のように述べたかったに違いない。
「90年代に中道右派政党においては党内論争がしばしば発生し、これにより諸政党はまず弱体化し、次に分裂し消滅したが、公正発展党においてそれはあってはならない。公正発展党の要は、政治的道徳と法の遵守である。公正発展党においては誰であれ地位や権力を追い求めてはならない。公正発展党に所属するということは、ただリストに名を連ねることではない。公正発展党の党員であることは、重い責任が課される場面において、代償を支払うリスクを負い、石の下に自らの手を置くことができる、ということである。」
ダヴトオール首相はスピーチで、思い付きを排し言うならば「決断の上で」語った。
スピーチ全体にわたって、首相と公正発展党党首に就任してから今日まで、ダヴトオールが基本的に協調姿勢を示してきたものの、それに対する十分な応答が得られなかったことを非難するようなニュアンスが明確にある。

■「あなたは私にとってもリーダーだ」

これらの発言から、ダヴトオール首相は、自らを首相および公正発展党党首に任命したエルドアン大統領との間に摩擦を生じさせようとするキャンペーンの標的になっていると考えていることが分かる。
そのためMKYK会合の朝、エルドアン大統領と電話で話した際もダヴトオール首相はエルドアンのリーダーとしてのイニシアチブを協調し、「あなたは私にとってもリーダーだ」と言った。
今後何が起きるだろうか?
デミレルが言ったように、「政治において24時間は長い」。
いつどんなことでも起こりうる。
確実なのは、このどっちつかずな緊張状態をこれ以上続けることはできないということだ。

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( 翻訳者:篁 日向子 )
( 記事ID:40384 )