ベイルート:芸術家は破壊の中に希望を見出す
2016年05月08日付 al-Hayat 紙

■破壊が創造への欲求を生み出す!

【ベイルート:イルヤーン・ハッダード】

「荒廃の中にこそ希望があらねばならない」とは、芸術家のナビール・アブー・ハマド氏が、自身の個展「積み重ね」をまとめた言葉である。その個展では、展示された絵画を通じて、数々の戦争や混乱、広汎な破壊によりアラブ地域で失われた希望が模索される。

個展の作品には、荒廃と蓄積をテーマにし、さまざまな形や描き方をとりながら、「希望の余地」を含むものが見られる。その中で最も目を引くのが、「コンテナ」(容器)という題名の作品である。そこには、ガラクタを積み込まれたベビーカーが描かれ、その前にネズミのキャラクターの「ミッキーマウス」が首を切られ、頭を体から遠いところに投げ出された格好で示されている。ただしこのアニメのキャラクターは、その身に起きた暴力にもかかわらず、その顔から笑みを「消していない」。

また、「コメディー」という題名の絵には、怖がらせるような暗闇のテントが描かれる。横の壁には一枚の笑っているピエロの写真がある。「〔ピエロは〕その存在をばかばかしくするような喜劇的で悲劇的な状況をあざ笑っているのです」と、本紙へのインタビューの中でアブー・ハマド氏は説明した。同氏によれば、蓄積とは、「私たちの無意識の中に存在し、一つ一つ積み上げられてきた層のことを意味しています。それは私たちの上を通りすぎていった数々の諸文化の堆積物であり、つまり、諸文明のエッセンスなのです」。

(後略)

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( 翻訳者:中本明花 )
( 記事ID:40412 )