■職場でのハラスメントを恥に支えられ……女性たちは沈黙するばかり(2)
【カイロ:アミーナ・ハイリー】
(前略:5月5日付記事「エジプト:職場のハラスメント問題」参照)
そのこと(女性は自らを大切にすべきだという考え)に基づいて、数日前に「新女性財団〔NMF〕」が発表した「職場でのセクシャルハラスメント」調査の結果、セクハラは有名でよく知られているが、黙認されていることが示された。また大半の女性労働者たちは職場において「よくない視線」や「男性が自分を舐めるように見ていると感じる視線」で見つめられる、あるいは体に触られるといった形態のセクハラに遭っている。言葉や接触、視線によるセクハラは蔓延しており、よく知られている。むしろ、セクハラは女性労働者たちにとって、毎日の生活の細部と切り離せない部分になろうとしている。また彼女たちの言葉によると、たいていセクハラは男性が彼女たちの同意なしに決定された行動をするための、彼女たちに対する脅しや圧力の一種である。セクハラは彼女たちに不安を感じさせ、非常に不快にさせ、精神的にも身体的にも害を与える。それにもかかわらず、彼女たちは完全に沈黙することを強いられる。それどころか、〔被害〕女性の一部は、自分自身を責めたり、女性の同僚から非難されたりする。なぜなら「女性は女性、男性は男性」だからだ。
ムナー・ファトヒーさん(40歳女性、工場労働者)はこう話す。「慎み深い女性は自分自身を守ります。なぜなら男性は感情をコントロールできないからです。女性は慎み深い服装をしなくてはならないし、大笑いをしてはならない。大声を上げてはならないし、よくない座り方で座ってはならない。女性があちらでは言葉によるセクハラ、こちらでは体を触られるというセクハラに遭った場合、自分の服装や振る舞いに気をつけることが効果的です。言い換えると、この行為は男性の恥という以前に、女性の恥なのです」。
また慎み深い服装について、ファトヒーさんはヒジャーブ(スカーフ)とヒシュマ(全身を覆うドレス)を挙げている。しかしエジプト女性の大部分の離婚経験者は、ヒジャーブを身につけているのにもかかわらず、セクハラに遭っている。〔そのことについて〕ファトヒーさんは次のように話す。「それならばヒマール(背中まで覆うスカーフ)やニカーブ(目だけを出す衣服)を身につけるべきです」。また職場における男性の責任について質問すると、彼女は次のように述べた。「もちろん男性に責任はありません。慎み深い女性は自分のことは自分で守るべきなのです」。
「慎み深い女性」がこのような「慎み深くない男性」を生み出している。こういった「慎み深い女性」は職場におけるセクハラが〔被害女性への〕さらなる非難を生み、女性に重荷を負わせる社会で育った。また〔上述の〕調査によると、女性たち自身は、職場におけるハラスメントの発生原因は以下のものだという立場をとっている。すなわち、モラルの欠如、若者をそのような行為に駆り立てるドラマや映画、女性の結婚を妨げる〔要因となる〕失業や貧困の拡大、一部の女性の服の着方や喋り方。また男性的な文化が女性の体は軽蔑すべきものであり、女性の存在に価値はないと見なしているということもある。なぜなら、「所詮は女」だからだ。この意味での「女性」はただ「女性」という存在の重荷を強いられるだけではなく、別の重荷も負担させられる。(数えきれない例として)女性たちは時として、他の人に身体を許すことを認め保証するような、文化的同意を強いられる仕事をしている。アレクサンドリアの看護師の女性は、職場のセクハラ現象は働いている女性、例えば看護の仕事を持つ女性に対する社会の見方と関係があると言う。「私たちは看護師としての仕事を受け入れる限り、出発点からそのような扱いをされます。だから、セクハラにも抵抗しないのです」。しかし最大の災厄には、まだ見舞われていない。また彼女は付け加えた。「もちろん、医者による私へのセクハラについては表沙汰にしていません。なぜなら誰も私を信用しないでしょうし、もしくは私が彼に対して反抗することはないと信じているからです。彼は医者で、私は看護師です。それどころか、もし私が告発するという危険を冒せば、私は仕事を解雇されてしまうでしょう」。
もし〔社会的〕階層の亡霊が、そのような女性看護師の答えに影を落としているとしたら、男性主義の亡霊は職場で女性たちの息の根を止めてしまうだろう。ある女性労働者は、職場でのセクハラ問題について告発し、表沙汰にしても、「自分に屈辱を与えることになるだけだ」と語った。また彼女はセクハラ加害者への非難に満足しているが、自分では非難しないし表沙汰にしないと付け加えた。なぜなら実際に告発することには困難があるからだ。また他の女性たちは、セクハラ加害者との闘いは、脅迫され評判を失う危険に自分たちをさらすだけだと指摘した。
(後略)
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( 翻訳者:塩川ゆうり )
( 記事ID:40413 )