コラム:実業家たちが見せる社会的責任感の欠如
2016年05月19日付 Al-Ahram 紙

■ケチな実業家たち

【ナビール・サジーニー】

 エジプトにいるのは、世界一ケチな実業家たちである。彼らが探しているのは自分たちのプロジェクトととるに足らぬ値の土地に対して政府が課す税を逃れる術と、国が与える投資のチャンスだけだ。それによって利益を増やし、その一方で社会に対する自らの役割と責任については忘れ去る。

 不思議なのは、今エジプトのために寄付をしているのは貧しい人々であるという点だ。彼らは掘っ立て小屋に住んでいるというのに、祖国に対する責任を感じ、彼らが夢見るのは祖国を窮地から救い出すことなのだ。

 しかしながら、我が国の実業家たちは祖国よりも金を愛し、彼らが何百万もの金を威勢よく注ぎ込むのは、自ら所有する衛星放送、新聞、自社の製品の広告、宣伝であって、社会における責任や祖国に対する義務の話になると、彼らの多くは姿を消す。なぜなら彼らの多くは、銀行の残高と財産を増すこと、そして贅沢で安楽な暮らしをすること以外に関心がないからである。

 実業家たちは国民に恩返しをしなければならない。それは災害支援の基金を作ることで可能だ。先の(カイロ市街で先週起きた)大火の犠牲者を含む被災者や、貧しい人々を支援するために。この基金によって若者の失業問題に歯止めをかけるためのプロジェクトを始めることも可能になる。

 私がこう言うのは、今、ラマダーン月になろうとしているからである。彼らにはジャーヒズ(776~868、イラクの文学者、思想家)の「けちんぼどもの書」を読んでほしい。そうすれば自らの振る舞いを正すだろう。そしてこの聖なる月にいくらかの徳ある行いを成すだろう。彼らに思いだしてほしいのは、金には人間にとってふたつの災いがあるということだ。ひとつめは、墓に入ればそれはすべて取られてしまうということ、そしてふたつめは来世においてこうした金について問いただされるということである。

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( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:40470 )