この1週間で前首相アフメト・ダウトオールと新首相ビナリ・ユルドゥルムとの2つの大きな違いが明らかとなった。
■一つめの違い
ユルドゥルム新首相の一日は早く、予定の時刻よりも前には現れる。ダウトオール前首相は、およそ11時前には予定を入れなかったし、予定には遅れてやってきた。時には2時間近い遅刻もあったほどだ。ユルドゥルム新首相は早めの時間に予定を入れるという点で違いを生んだ。たとえば5月30日(月曜日)の閣議は9時に始められた。6月1日、キプロスに発ったのも9時。6月2日には公正発展党の県代表委員会を9時に設定した。首相自身は党本部に8時45分に到着したが、ほかの参加者が9時20分頃に会議室で着席すると、次のような言葉で非難した。
「皆さんお揃いだと聞いて、階上に上がった。つまり皆さんに15分の貸しがあるということだ。今回は仕方がないが、今後、時は金なり...。今後、皆さんも会議を定刻で行うのに慣れてください。時間をより有意義に使おう。」
ユルドゥルム新首相は、6月3日にはアゼルバイジャンの首都バクーを訪問するため8時20分にアンカラを出発した。
■2つめの違い:両首相のスピーチについて
ダウトオール前首相は良い演説者だった。マイクを手にしたときには声のトーンを変え、川や山に敬意を表した。また、トルコ人が一時暮した国々の名前を淀みなく述べ上げ、思想家や宗教家に触れ、説得力のあるスピーチを行った。
演説も、長文ながらも文学的手法、学術的な論理性のおかげでスピーチ全体と要点は崩れず、互いに連関していた。街頭で、会議室で、テレビのインタビューで、この姿勢を崩さなかった。
一方、ビナリ・ユルドゥルム新首相はこの点においてダウトオール前首相と正反対で、友人と会話しているようなスタイルを用いている。短く、時折交えるジョークでは自身さえ槍玉に挙げることもある。本紙の首相府担当であるギゼム・カラクシュは、ユルドゥルム新首相が就任第一週目に世論に映した手法を解き明かせるよう詳細を以下のようにまとめた。
■声が故障モード
会議の際、首相の声がかすれてしまった。自分の嗄れた声に笑った。「私の声は演説をさせなくないようだ」と、自分の声で笑いをとった。
さらに、トルコ大国民議会第1回グループ討議で、シュプレヒコールで何度もスピーチを妨害する若者グループには「私の声がまた故障モードだ。だからほんの少しだけ猶予がほしい。10分で言いたいことを説明する。その後なら好きなだけ熱狂してかまわない。いいかい?」と応えた。
ディヤルバクル訪問の際には、「声の調子は」との記者の問いに、「蜂蜜入りのウフラムールを飲んでいる、いいから、今日は声の問題は生じなかった」と答えた。
信任投票後、閣僚とともにアタテュルク廟を訪問したユルドゥルム新首相は、セレモニー後、予期せぬ形で訪れていた市民らに混じった。さんざん写真を撮られた首相は、周りの市民にも「あなたも入りなさい、写真を撮ろう」と冗談を口にした。
■45分間騒ぎ
6月2日に公正発展党県代表らに話した際に、45分話したのに気付き、ユルドゥルム首相は「これはだいぶ話しすぎたようだ。30分で済ませるつもりだった。今後は皆さん私を止めてくだい。いいですか。政治にはあまり浸からないでおこう、奉仕のほうがマシだ」とコメントした。
キプロス訪問で行商人からアンズを買ったユルドゥルム新首相は、購入したアンズを周辺の市民に配って、「ということで皆さんも私にコーヒーをごちそうしてください」とジョークをとばした。
■ハイダル議員に「やぁ」
ユルドゥルム新首相は、トルコ大国民議会で施政方針を読み上げた日、政権側の席で閣僚数名と座っていると周囲に人垣ができた。ユルドゥルム新首相は周囲に 「ここで映画の上映でもやっているのか?」と話したという。施政方針を読み上げる際に妨害してきた野党議員らにも名指しで対抗する道を選んだ。
例えば共和人民党ハイダル・アカル議員(コジャエリ県選出)が、運輸業界の業務について批判した際、ユルドゥルム新首相は、「ハイダル、やぁ。しっかり準備しておけ。おまえとしなければならない仕事がある。さぁ」と述べた。
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( 翻訳者:原田星来 )
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