イラク:夏休みの新トレンドは東アジア
2016年06月09日付 al-Hayat 紙


■イラク人の家族連れが夏休みの旅行先として東アジアに目をつける

【バグダード:フルード・アーミリー】

今年の夏休みを過ごすためにイラク人の家族連れに与えられた選択肢は多いとは言えないようである。先立ってトルコはイラク人観光客に対し国境を閉ざし、観光会社代表への入国ビザの発給を停止している。加えて、既に課されている厳しい規制もある。つまりビザ入手の条件は、ヨーロッパ諸国への入国の際に満たされるべきものとほぼ同じになり始めているのだ。

ここ数年、イラク人の家族連れは、優先的な選択肢であったいくつかの観光先を失ってきた。その第一であったシリアは、物価のリーズナブルさで際立っていたし、目的地も豊富だった。しかし今起きている戦争によって、シリアは考えることすらできなくなってしまった。更にクルディスタンも、クルド人を除くイラク人にとって渡航禁止地域リストに加わってしまった。バグダードのヌーリー・マーリキー政権とアルビールのマスウード・バールザーニー政権の間で、クルディスタン政府が物資の流入を禁止した問題(2014-2015)があったからだ。

クルディスタン地域への観光はアルビールやスレイマニヤにつてがある人にのみ許されるものとなった。スレイマニヤ空港での治安上の手続きは、それが地域の中心地〔アルビール〕よりもかなり良いものに見えていれば、バグダードからの物資流入が途絶えた後のクルディスタンの財政危機があったとしても、保証人の存在を条件として観光客に門戸を開くために大きな役割を演じただろう。

トルコが厳しい措置を講じたのは、ドイツなどのヨーロッパ諸国から、昨年数万人のイラク人難民がトルコ国境を経てヨーロッパへ流入した主な原因はトルコ政府にあると非難されたからである。面目を保つため、トルコは極めて困難なビザ取得規定を定め、イラクの観光会社との取引を中止した。この決定の実行以来、観光会社はいくつかのツアーを取り消し、既に予約していた顧客に謝罪するとともに返金した。

このような状況下において、国外で夏休みを過ごそうと考える家族連れに与えられた選択肢は多くないようだ。特にクルディスタンやイランにいる者にとって、選択肢は限られている。

しかし、東アジア〔訳者注:記事では「東アジア」と表現されるが、下記の例のように必ずしも日本での一般的な東アジア概念とは一致しない〕に向かう考えが受け入れられ始めているようである。マレーシアのような国々は、多くのイラク人、中でも子弟をマレーシアに留学させている家族を惹きつけるようになった。旅行の費用が、クルディスタンやイランで休暇を過ごしたいと思った時にかかる金額とさして変わらないため、子どもに会いに行くことを後押ししているのだ。

観光会社はこの状況をうまく利用し、魅力的な価格のパッケージツアーを宣伝している。同様にイラク航空は、多くのイラク人の家族連れを惹きつけているマレーシアやジョージアへの低価格の直行便を就航させた。

このように東アジアはイラク人の家族連れの新トレンドとして浮かび上がってきた。中には昨年こうした国々を訪れ、遠かったことはすっかり忘れて、再び旅行しようと準備している者もいる。

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( 翻訳者:増田まい )
( 記事ID:40648 )