エジプト:暗い主題が多かった今年のラマダーン・ドラマ
2016年07月20日付 al-Hayat 紙

■物事のポジティブな側面を見ないエジプトのドラマ

【カイロ:サイード・ヤースィーン】

ラマダーン月に放送されたエジプトの新作ドラマにネガティブな要素が満ち溢れていたことを受けて、今後はポジティブな側面を中心にする必要性を求める声が高まっている。特に〔今年の〕ドラマでは、武器や麻薬の取引、中毒、暴行、殺人、良識を疑う行為ばかりが取り上げられており、麻薬を当たり前のように使用するシーンや、下品な言葉を取り入れた台詞を多く含んでいた。

批評家や脚本家、監督たちは、この問題について話し合ってきた。その内の一人、批評家のハサン・アテイヤ氏は、以下のことを強調した。ドラマの商品化が成功し、ドラマは大衆に売られる商品へと転換したが、こうしたドラマは巨大メディア産業によって作り出され、大衆はその消費を通じて、理性を阻まれ、芸術を愉しむ心を麻痺させることになった。これらは、表面的な感情や肉体的欲望を喚起させ、殺人や裏切り、体を売ることなどの罪に向かわせた。しかも物乞いメディアがこれらを下支えしている

アテイヤ氏は、今年のドラマは殺人と裏切り、精神疾患の話の中に呑み込まれてしまったと述べた。そして、さまざまな邪魔によりアラブ社会とエジプト社会が死を被り、現実が社会の夢を奪っている中であっても、作品を生み出す者の役割は、優勢なものに迎合することではなく、むしろ、現実を読み込むこと、優勢なものを乗り越えるために深く読み込むことであり、現実をただ伝えるだけの段階から現実に対抗するものへと移ることにあると指摘した。

(後略)

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( 翻訳者:大橋夏子 )
( 記事ID:40923 )