エルドアンのローザンヌ条約「批判」に、歴史家コメント
2016年09月30日付 Cumhuriyet 紙
バスクン・オラン博士は、1913年のアテネ条約により12の島がギリシャに譲渡されたことを指摘し、「エルドアン大統領は歴史的な知識に欠けている」と発言した。また歴史家のスィナン・メイダン氏は、ローザンヌ条約について議論をするということは、すなわちトルコ共和国について議論をすることであると述べた。
バスクン・オラン博士:
エルドアン大統領は、非常事態法(OHAL)を出した。非常事態に基づく諸政令(KHK)により、彼は、想像もつかないほどの快適さを味わうこととなった。しかし今、小さな抵抗が始まっている。トルコ革新労働組合連盟(DİSK)や公務員労働組合連盟(KESK)により抗議デモ、コジャエリ県で学者らが開設した自由大学などだ。
OHALが今月の20日で終了することに対し、大統領は警鐘を鳴らした。ナショナリスト的感情を掻き立てた。彼は今回、ムフタル(村や街区の行政関係者) らに対し話していたために、彼らの文化レベルに合わせた事柄を話している。右派の政治家たちは一様にローザンヌ条約をゆがめていく。モースルでは、4つの国がエルドアンに対し「君は国際法を無視している」と述べている。これを受けて12の島が話題に上ったのだが、そもそも12の島は1923年のローザンヌ条約によってではなく、1913年のアテネ条約でギリシャへの編入が決まったものだ。
エルドアン大統領は歴史的な知識に欠けている。彼は周りの諮問役たちに尋ねたりはしないのだろうか?今回の発言は、国内政治という見方をすればOHALの延長のため、外交という見方からすれば、シリアで「国民軍創設という考え」でもって行われたのだろう。どこかの国が「トルコで国民軍を創設しよう」と言ったならば、世界各国がそれぞれに介入することになってしまう。エルドアンはシリアにタンカーを送った。今度は兵隊を送りたいのだ。
スィナン・メイダン(歴史家、作家):
エルドアン大統領は、カーディル・ムスルオウルやネズィップ・ファズル・クサキュレキといった人々を参照している。これらの人物は、既存の共和国に反対する人々である。エルドアンが述べていることは、彼らの捏造したものを語っているのだ。昨日(9月29日)の発言でもって、7月15日以前の、かつての状態に戻ったのだ。
今回の発言は、歴史的な事実とはかけ離れた、歴史的な虚構である。ローザンヌ条約は保持されなくてはならない。ローザンヌ条約について議論をするということは、すなわちトルコ共和国について議論をするということだ。そして彼の目的も、そこにあるのである。エーゲ海の島々は、ローザンヌ条約で失われたものではない。1911年のトラブルスガルプ(リビア)戦争の後に署名されたウシ条約で、部分的にイタリアに割譲された。さらにその後1913年にロンドン―アテネ条約が締結され、ギリシャの領土に組み込まれた。トルコがローザンヌ条約を締結しようとしていた際には、そもそもエーゲ海の島々はトルコの領土ではなかったのだ。その10年も前に失っていたのである。失ったものを、どうしたら再び失うことができるというのだろうか?1923年の条件を鑑みれば、ローザンヌ条約が最善のものだったのだ。今回の発言は、公正発展党(AKP)政権の2023年の目標と関係している。彼らの目的は、トルコ共和国を矯正し、オスマン[帝国のようなもの]を築き上げることだ。7月15日のクーデター以降、この動きが加速している。
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( 翻訳者:木全朋恵 )
( 記事ID:41346 )