北イラク・クルド自治政府バルザーニー、トルコの味方にーイラク・トルコ危機
2016年10月06日付 Cumhuriyet 紙
バグダッドのイラク中央政府は、アンカラとの間にあるモースルの危機的状況を国際問題にすることに着手した。イラク中央政府は、バシカに駐留しているトルコ軍が国外へ撤退するようにと、国連安保理の緊急会議開催を呼びかけた。バルザーニー大統領率いる北イラク・クルド自治政府は「トルコ軍はイラク中央政府の了解を得てバシカに駐留している」という内容の声明を発した。
ビナリ・ユルドゥルム首相は、トルコ軍のバシカ駐留に関するイラク政府の反応について、「理解できない」物であり「よい意図」に基づいていないと主張した。ユルドゥルム首相はイラク中央政府について、PKK(クルディスタン労働者党)に対する適切な措置をとっていないと批判し、「トルコに関してこれほどまでに分別をわきまえない言動をするのは、イラク政府にとって適切なことではない」と反応した。
ユルドゥルム首相は、トルコ商工会議所連合が開催した第9商工業委員会で最近の状況についてコメントした。
ユルドゥルム首相は、アメリカとイラク中央政府との間に緊張関係を呼び起こしているモースル情勢に関して「特にアメリカは、今月中にイラク中央政府や地方の部族からなる準軍事力と共同してこのような作戦を行おうとしている。この件についてトルコが敏感になるのは明白である」と述べた。バシカにトルコ軍が駐留する理由はイスラム国との闘争であると述べた首相は「これらすべてがなされる一方で、この作戦が近づいている今日においてイラク中央政府から理解できない反応が来た。イラクには63か国の軍の部隊が駐留している。ニュージーランド軍さえもいる。ニュージーランドはどこに、イラクはどこにある? 63の様々な国から、ここにテロやイスラム国との闘争の名のもとに軍の部隊が駐留している。その一方で、これらすべてを差し置いてトルコ軍の存在にだけこだわるのは無用なこととだ」と述べた。
■「言わせておこう」
イラク中央政府の反応について「よい意図に基づいた表現ではない」と評したユルドゥルム首相は「イラク中央政府が、バグダッドが何と言おうと、そう言わせておこう。イスラム国との闘争のために当該地域における人口構成を大きく変えてしまわないように、トルコ軍は現地での駐留を続ける。イラクに関係ない多くの国がその地に駐留しているのに、歴史的にその地と常に深い関係を保っていたトルコに関しては、これほどまでに分別をわきまえない言動をすることは、イラク政府にとって適切なことではない」と述べた。
■イラクから国連安保理への呼びかけ
トルコ政府とイラク中央政府の間におけるモースルの危機的状況は今回、イラク中央政府が議会の採択した決定に従い国連安保理へと舞台を移した。一方でルダウ紙の報道によると、北イラク・クルド自治政府は、モースルのバシカ地域におけるトルコ軍が、イラク中央政府の了解を得てバシカに駐留しているという声明を発した。
■アメリカ外務省報道官:イラク政府が決定を下す
アメリカ外務省のマーク・トナー副報道官は首都ワシントンでの定例記者会見にて、イラクとシリアの問題に関してトルコに2つの重要なメッセージを発した。トネル副報道官は、トルコとイラクの政府間におけるバシカ駐留に関する論争と、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣がこの問題に関して発した声明、そしてモースルにおける作戦に関する質問に返答し、「トルコ軍がこの作戦に参加するかしないかは、イラク政府が決めるだろう」と述べ、トルコ国軍のイラクにおける役割はイラク中央政府との協調がカギとなるだろうと強調した。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:神谷亮平 )
( 記事ID:41373 )