エジプト:トランプの奇跡
2016年11月13日付 Al-Ahram 紙

■トランプの奇跡

【マクラム・ムハンマド・アフマド】

合衆国の奥底にある国家、あるいは「エスタブリッシュメント」と呼ばれるもの、それは共和党候補の成功の機会をつぶすためにあらゆることをおこなった。メディアはこの男のイメージを合衆国大統領の地位に就くことなどできない恐ろしいものにすべく、そのひどい姿を嘲った。世論調査を、選挙の数時間前にすべての結果を捻じ曲げるべく操作した。2%から5%の間で民主党候補のヒラリー・クリントンが優勢であると断言すべく。しかしながらトランプ支持派は粘り強く、候補者に寄り添い力強く、繰り返される攻撃に抵抗し続けたのである。その結果、夜半前には世界中を驚愕させるような結果が浮かび出た。トランプを圧倒的な勝利に導いたのだ。大統領選でも、そして上院でも、下院でも共和党が勝利した。それと同時に、メディアも、研究調査機関も、世論調査規範も、エスタブリッシュメントはすべてが状況を偽装していたことを明るみに出したのである。

それはまた、トランプ陣営の粘り強さゆえだった。彼らは、基本的にホワイトカラー、ブルーカラーの白人のアメリカ人からなり、工業都市で働く下流中間層の多くを占め、移民の数とグローバル化による影響のため、生活のすべての領域で周縁化を被り、自分たちの声が国家レベルの党派政治において全く反映していないと感じ、ついに党派政治と、政治家階級と、金融機関と、さらにはこの国の諸機関と市民社会の多くにおいて支配的な諸組織のなかのアメリカのエリートのトップに対して、テーブルをひっくり返すような巨大な反抗の力となったのである。

こうした本質的な真実に照らしてみると、トランプがアメリカにおける単なる偶然の現象、合衆国の未来の一部となりうるに値する足場を持たない、国家や諸制度の外側に生じたたんなる愚か者、狂気にとりつかれた者と見るのは間違っていることがわかる。

おそらく、すべてを失った民主党の間違いは、トランプの対抗馬としてヒラリー・クリントンを選んだことだろう。中間層の信頼を得ていないにもかかわらず、ヒラリーはその職から巨万の利益を得た。夫のビル・クリントンとともに政治的な仕事から巨大な富を作り上げたのだ。彼女はEメールの力をわかっていなかった。公私を混同した。ようするに、突然のトランプの勝利は予期せぬアメリカの出来事などではなく、明日になれば、誰もが世界的にもっとも重要な変化であると気づくだろう。中東の政治の舞台におけるもっとも影響力のある変化だと。

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( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:41594 )