デミルタシュ、獄中からの手紙
2017年09月12日付 Cumhuriyet 紙


トルコで新たな宗教的ファシスト体制建設の試みを目の当たりにし、そのことで落ち着かず、不安を憶えた者は、具体的な一歩を踏み出すことをためらってはなりません。実際、議会は実質(そして、基本的に公的に)通常の政府の部局、つまり官邸へ属する重要でない単位の状態へとされたこの時期に、社会的反対派が積極的な政治的主体の状態とするための条件はよく整っています。社会のあらゆる単位が基本的民主主義の原則における連携を準備し、それを公けに自らが行う中、政治的代表の地位にいるものがこの問題で不必要な懸念を抱いていると私は考えざるを得ない。

■HDP「恐怖症」とは何か

特に、人民民主主義党(HDP)とともに留まり、一緒に見られることへの「恐怖」は、政治家にとって「フォビア(恐怖症)」に帰する状態です。この「恐怖症」を創造し育てているのも、基本的にAKP(公正発展党)自身です。社会や底辺には、このような「恐怖症」はありません。そうであることの合理的で正当な理由は全く存在しないのです。

もともとHDPは、共和国体制を民主化することを支持しています。共通の祖国とのアプローチによって、トルコのすべての領土を所有し、世俗主義を擁護し、いかなる種類の暴力に対し躊躇することなく反対し、国家統一の範囲内でクルド問題の民主的解決のために闘っています。女性、信念、生活の様式の自由を擁護し、労働、労働者、生産者に寄り添う経済プログラムがあり、600万人の投票に支えられて、国会で二番目の野党グループの代表であり、公正で合法的な政党です。もちろん、HDPは批判を免れ欠点のない政党ではありません。しかし、AKPが最も攻撃する政党であるにもかかわらず、断固として抵抗し闘っている政党であることは確かです。

■AKPと一緒に立ち止まる問題ではない

しかし、こうしたことにもかかわらず、HDPのそばにいることをためらって隅へ逃げ込む者は、AKPのそばにおり、そう見られることに、どういうわけか不快さを感じないのです。

共和国の歴史上、最大の破壊をおこなった政治宗教政党は、多かれ少なかれ毎日、新たな圧力方法を開発する最も法律を認識しない政党であり、一歩一歩独裁体制を構築する政党であり、外交において、トルコに対する信用を貶める日々を重ねる政党であり、社会を自らが創る新たな宗教理解によって屈服させようとする政党であり、多数の幹部とメンバーが腐敗、横領の嫌疑がかかることで知られる政党であり、国会を停止させ、世俗的共和国と合法的国家に挑戦する政党であり、司法、官僚、大学人、メディアを自分のものにした政党のそばにいるとみられること、会ったりすること、同じ写真に写ること、握手すること、一緒に同じ集会に参加することを拒否しない者は、HDPのそばにいることを見られたくはない!非常に奇妙なことだ。
  
■HDPは抵抗する

まず、そのことを私が述べる必要がありますが、HDPは正統性を国民から得ています。実際、そのことに疑問を呈したり、議論したりする何者かは、専門家ではありません。HDPは(トルコ)国民以外の何者かによる支援は必要はありません。正統性のために何者かの同意、承認を求めてはいません。ちょうど、他の政党のように。

現在のこの歴史的な期間において、HDPをトルコが民主的な未来を建設することにおける不可欠な民主主義の勢力として認識しその価値を知る必要があります。どんな状況にあっても、HDPはファシズムに抵抗し、国民の側にいるでしょう。それらを実行するとき民主主義の原則から譲歩しません。

あらゆる条件において、生活と平和をともに守ります。私たちの国における信念、宗派、民族的アイデンティティ、生活様式の違いは、分裂、あるいは収容されるものではなく、民主主義の屋根の下での平等で自由な生活の機会として見ています。私たちの国のムスリム保守社会には複数の社会的グループがあります。ケマリスト、国家主義者、アレヴィー、クルド人、社会主義者、ムスリムでないコミュニティがあり、存在しています。もちろん、すべてのこれらのグループは、いくつかの点で絡み合ったり、重なったりする状況もあります。

■民主国家は必須

民主主義は、これらのグループのいずれかのひとつを無くしたり、抑圧したり、浄化することで構築できません。民主主義はあらゆるこれらの差異を平等で平和の内に共存させることができるのです。すべてのこれらの差異を包括的で平等な関係での合法的存在として受け入れる「民主国家」の屋根の下で、統一を保証することは可能です。HDPは、それらのために存在しており必須なものです。

このためトルコは、目前に迫っている3つの重要な選挙について計算するものは、HDPが無くなったようにふるまうことをやめるといい。HDPの有権者は、他の有権者のように自由な意志をもつ市民によって構成されています。同胞を誰であれ、「籠の中の鳥」と見ない方がいい。共通の原則を決めず、HDPの期待と未来の展望を加えず、まるでHDPが誰かに強制するかのようにふるまっては現実的なロードマップを作成することはできません。HDPが最も信頼されているのは、「一人になってもファシズムに抵抗」を選択しているからです。現在、緊急の議題は選挙ではありません。なぜなら、この国には自主と自由な選挙の条件が全くないからです。私たちの優先事項は、上記の条件を成立させるために一緒に闘うことでなければなりません。絶望に居場所を与えるのではなく、興奮と歓喜によって、民主主義の闘争を拡大する時なのです。

セラハッティン・デミルタシュ 
人民民主主義党(HDP)共同党首 
刑務所にて

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:43376 )