カーディル・トプバシュ市長の解任要求投票の際にAKPグループが用いた手法を、イスタンブル広域市議会のCHPグループの面々が明らかにした。
イスタンブル広域市カーディル・トプバシュ市長を辞任に追い込んだ「5つの都市計画」案がAKPグループにより提案通り承認された日、議会は信じられない出来事がおこっていた。議会内のCHPグループ代表であるエルトゥールル・ギュルセヴェル議員は、あの日、議会で「賛成票」を投じた者は156名いなければならず、このためにAKPグループが各扉を押さえていたとし、「にもかかわらず156名に届かない状況で投票が開始された。我々はこのプロセスを法廷に持ちこむつもりだ」と述べた。
■「159名いる、といった」
市議会で事件が起きた9月21日、トプバシュ市長が拒否した5つの都市計画案に関する投票が行われた。投票開始前、CHPグループが議場内の出席者数を数えることを要求した。議長を務めるギョクセル・ギュムシュダー議長が159人が議場入口の帳面に署名していると宣言して投票が開始された。
しかし、本紙に対し、この日のことを語った市議会CHPグループ代表のエルトゥールル・ギュルセヴェル議員は、「議場では、143名の議員が賛成票を投じた。賛成票としては156名、必要だった。彼らは扉を押さえて手洗いへも行かせなかったが、それでも議場内に159票も投票者はいなかった。私はこの日も抗議した。143名で議決を行ったのだ。監視カメラの確認を要求し、法廷へ持ち込むつもりだ」と話した。
■「署名していなかった」
ギュルセヴェル議員は、AKPグループとトプバシュ市長との距離が広がったことについて、「昨日今日起きた不和ではない。7月15日クーデター未遂事件以降の、カーディル・トプバシュ市長の後手対応が風評の引き金となり、ゴシップがささやかれた。「カーディル・トプバシュは辞任する」、「辞めろ」とも言われ、市長も対抗した。辞任がいつ起きても不思議ではないという状況になったきっかけは娘婿の逮捕だった。また、(大統領制国民投票において)「No」勢がイスタンブルで52%得票し、AKPがイスタンブルで初めての選挙敗北を喫したことが、このプロセスに油を注いだ。AKPをいらだたせる結果となったからだ。これも事態を加速させた。議会での決定に対して、長期間署名がなされず、トプバシュ市長自身が署名していた。最終決戦に突入した。トプバシュ市長が拒否した5案のファイルがその日のうちに議会を通過した。論争となり、これが天王山となった。」
■「市には借金がある」
トプバシュ市長は「市に借金のあるままで(次の人に)譲れない」と発表を行い、これにより市には46億の借金があることが明らかになった。CHPに属し、党のスポークスマンでもあるスレイマン・タルク・バルヤル議員は、借金額は2年で2倍に増加したと延べ、借金のうち28億3400万リラが外債であることを指摘した。
■父へメッセージ
トプバシュ市長の息子ムスタファ・トプバシュ氏は、ツイッターアカウントで次のように発言した。
「あなたをいつも誇りに思う。思わないことなどありえない。献身的に市民サービスを行い、2004年から今日まで先駆者であり続けた都市の市長であり、2014年には皆の周りに集結した敵に立ち向かって選挙に勝利した。もちろん最も重要なのは職務期間を通してイスタンブルに対して行った貢献だ。すでに公的な立場から私たち家族の元に戻った父に幸運がありますように。」
■AKPから鎮静化に向けた発表
AKP副党首兼スポークスマンのマヒル・ウナル氏は、トプバシュ市長辞任について、「我々は(AKPが首長を務める)トルコの各自治体、政府、そして党組織をあげ、2019年に向かっている。この過程のすべてを政治的に捉えるという意味では、親愛なるエルドアン大統領も政治へ復帰した今、2019年への準備を進めるなかで、いくつかの職務や役職の変更が行われる。これらを任務の変更と捉える必要がある。これは党から離れるという風に取らないでもらいたい。」
■「辞任は自らの意思」
一方、AKPのエロール・カヤ副党首は、「市長が、個人的なお考えでおこなった決定である。この決意に敬意を表することをまず申し上げたい。理由を詮索するのは濁った水で魚を捕まえようとするのと等しい間違った行為だ。カーディル市長の今後の人生の成功を祈っている。また、彼はAKP党員でもある。私が心から願っているのは、彼に党内での役割を続けていただくことだ」と話した。
■CHPは辞任の謎に反発
CHP地方支部担当の副党首のセイト・トルン氏は、文書で「親愛なるビナーリ・ユルドゥルム首相にCHPから緊急の呼びかけがある。イスタンブル広域市のカーディル・トプバシュ市長がなぜ辞任したのか、即刻明かにするべきだ。トプバシュ市長の辞任は、個人的な問題や、AKP内の問題、あるいは在任期間の変更で通せるものではない。そうでないならば、今回のこの介入は民主主義のメカニズムを無視し、まったく異例のAKPによるクーデターとして歴史に残るだろう」と発表した。
トルン氏は、トプバシュ市長が辞任せざるを得なくなったこと、民主的な価値観からはこうした状況は認められるものではないと指摘し、ここのところ、市の運営に対してカーディル・トプバシュ市長の権限を妨害するような介入がAKP本部によってなされたことは明らかだと話した。
CHPイスタンブル選出議員ギュネイ・イェディクチ議員(上級建築士)も、「今回の辞任のみに言及するのは適当ではない。イスタンブルを裏切る策略のイスタンブル市での現れだ。自然はすべてに寛容だが、略奪や不労所得を得るための虐殺に許しはない。イスタンブル市民があなた方を許さない。イスタンブルの喉元に油で汚れた線を引き、都市の心臓部に短剣を突き刺した。不労所得を得るための何百ものプロジェクトにゴーサインをだしておいながら5つを拒否したからといって、大きな顔をしないでもらいたい」と述べた。
■ギュルセル・テキン議員「勇気をもて」
CHPイスタンブル選出のギュルセル・テキン議員も、ソーシャルメディアアカウントで、「カーディル・トプバシュ市長よ、ご自分の党があなたに対し陰謀を講じているのだ。勇気をもちなさい。そして決議を司法の場に持ち込みなさい。私たちはあなたの味方だ」と発言していた。昨日も、テキン議員は「昨日、ディル・トプバシュ市長に呼びかけた。彼が拒否した都市計画案の問題を法廷に持ち込むようにと。しかし、彼は逃てしまった。必要なことはCHPが行う。裁判所に申し立てる」と書き込んだ。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:43446 )