アルジェリア:カマール・ダーウド氏によるアラビア語批判・「アルジェリア語」論は矛盾だらけである(1)
2017年10月20日付 al-Quds al-Arabi 紙
■カマール・ダーウドとアルジェリアにおけるアラビア語の問題
【イギリス:マウルード・ベン・ザーディー】
アラビア語を支持する多数派とフランス語を支持する少数派との間で、未だに対立の炎が燃えている。フランス語は長い植民地時代にアルジェリアが受け継いだ言語である。今日ではフランス語の存在は薄れており、カビリ地域といくつかの大都市に限定されるようになった。
近頃、これらのフランス語話者の間から、文筆家にしてジャーナリスト、小説家でもあるカマール・ダーウド氏が登場した。ダーウド氏は短期間のうちに、思想的・文学的創作や人間性の次元やその他の認識よりはむしろ、アイデンティティ・宗教・アラビア語に対する敵意に満ちた彼の発言によって、アラブと世界の大衆に関心を抱かせることに成功した。野心家カマール・ダーウド氏は、他の人が失敗したことを、なんと早く成し遂げたことであろう。ダーウド氏は、フランスとフランス語圏の国々の最も優れた文学者たちを凌駕し、2015年にゴンクール賞を受賞した。今や、瞬く間にフランスのテレビの間で引っ張りだことなっている人々の1人となった。彼は演壇から、言語とアイデンティティ、さらにはナショナリズムさえも攻撃している。
これらのうち最新の演壇は、「フランス5」( France 5 )のテレビ番組『大図書館』( La Grande Bibliotèque )であった。そこでダーウド氏は「アラビア語は、大マグリブにおいて、私たちの言語ではない。アラビア語は、世界の中のこの地域においては、権力の言語であり宗教家の言語である」と発言した。
ダーウド氏のアラビア語に対する立場を明らかにしようとする時、真っ先に注目されるのは、「場面ごとに発言がある」と言うような矛盾があることである。ダーウド氏がフランスメディアを前に、フランス語の著述でアラビア語に関して語っている事は、アラブメディアとアラブ市民の前で語っている事とは異なっているようである。ダーウド氏がアラビア語に対して敵対的な立場を取っていることは、彼の小説作品を見れば明白である。タイイブ・アーイト・ハンムーダ氏は『アラブ・タイムズ』紙中の論説の中で、ダーウド氏の立場を要約してくれている。「カマール・ダーウド氏の小説の中で述べられた衝撃的な意見のいくつかが、私の目に留まった。それは例えば次のような発言である。『アラビア語には神聖さが植え付けられている。私たちアルジェリア人はアラブ人ではない。甚だ神聖なるアラビア語は、甚だ死に絶えた言語である。アラブによる水平方向の植民地化は、私たちを被植民地支配者にした。私はアルジェリア人である。私の言語、それはアルジェリア語であって、アラビア語ではない』」
(記事ID: 43683に続く)
( 翻訳者:了源康平 )
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