トルコの数学教育は、大問題
2017年12月02日付 Cumhuriyet 紙


生徒の多くが基礎教育において、基礎数学スキルを学ばないまま卒業している。そして、数学の授業における生徒の挫折は中学校から始まる。

トルコでは、多くの生徒が小学校でも中学校でも基礎的数学スキルのないまま卒業している。トルコの中学校では、数学パフォーマンスが低下傾向にある。生徒らの数学授業についての考え方や授業出席割合も、4年生から8年生に進むにつれてネガティブな方向に進む。こうした状況は、どちらかというと、生徒が勉強をあきらめたり、中学校在学中に挫折を経験していることを意味する。そもそも多くの生徒にとって、学校へ行くということは勉強するということを意味していない。

トルコ教育協会のシンクタンクであるTEDMEMは、生徒の数学・科学的知識の行き詰まりにスポットライトを当てることを目的とした事業に着手した。「トルコの観点からみたTIMSS 2015の結果」と題したこの取り組みでは、TIMSSのデータを使った追加の解析により、学校ごとの成績の違いを説明づける方向で、結果を発表している。また、この取り組みにより発行された「トルコのTIMSS 2015年のパフォーマンスにおける評価と提言」と題された事業で、数学・科学知識分野における生徒の不成績を分析し、その理由となる全要素を検討した。家庭の機能不全や貧困のせいで、生徒らの将来は制限されないと特筆した報告書では、社会経済的レベルや家庭環境などのディスアドバンテージがあっても、質のよい学校教育さえあれば、学習の成果に差異を生み出しうると強調された。

■「学校が支援していない」

発表された事項と提言はつぎのとおり。

・トルコの科学・数学パフォーマンスが向上してはいるが、多くの生徒にとって学校へ通うということは学習することを意味しない。
・数学においては、中学校で学習に挫折を経験する。
・就学前の時期の扱いで、発達度、教育における差異が生み出されうる
・生徒のパフォーマンスは単独で扱っても意味がない。学習を発展させるためには、学習に関連した諸要素の向上を保証することが必須
・トルコでは自宅学習のソースは乏しいが、ソースの貧弱さは学習を阻害しない
・学校が学習を支援していない。学習支援のためには教育ポリシの継続性、一貫性、学習の動機づけとなる要素の間に、調和が必要である

■できる生徒とは?

・生徒らの自宅学習ソースが増えるにつれ、数学・科学パフォーマンスのレベルも向上する
・小学校教育以前に、家庭で読み書き算数などの取り組みがより頻繁に行われていた生徒は、4年生と8年生でより高い数学・科学パフォーマンスを示す
・就学前教育を受けた生徒は、就学前教育を受けていない生徒より数学・科学パフォーマンスが高い
・社会経済レベルがより高い家庭出身の生徒が大半を占める学校に在籍する生徒は、ディスアドバンテージを多く抱える生徒のいる学校の生徒に比べ、より高い数学・科学パフォーマンスを示す。
・学校設備や教育資源の問題を多く抱える学校の生徒は、数学・科学パフォーマンスもより低い
・就学前に読み書き、計算等の基礎スキルを身につけた生徒の割合がより高い学校では、生徒の数学・科学パフォーマンスもより高い
・学校での学業成績への重視度に応じ、生徒の数学・科学パフォーマンスは向上を見せる。
・「素行に問題がほとんどない」学校で教育を受けた生徒の数学・科学パフォーマンスは、素行も問題がある学校の生徒のパフォーマンスよりも明らかに高い。
・安全で落ち着いた学校の生徒の数学・科学パフォーマンスは、安全や環境の点で問題のある学校にくらべて、より高い。
・校内暴力がある学校では数学・科学パフォーマンスはより低い
・生徒の授業出席レベルが上がるにつれ、数学・科学パフォーマンスも上昇をみせる.

■トルコはすべてランキング下位

4年生の数学パフォーマンスに関連する49カ国のランキングにおいて、トルコの順位を紹介する。

・数学パフォーマンス 36位
・自宅学習ソースとその量 36位
・就学前に、家庭内で子供と読み書き、算数の取り組みをおこなう割合 39位
・就学前教育を受けている生徒の割合 41位
・学校設備や教育資源に関する問題の多さ 35位
・就学前に読み書き算数などの基本的スキルを有する生徒の割合 43位
・学業成績への重視度 28位
・学校での素行問題の多さ 41位
・過去2年間において、 教員が数学分野の学習内容に関する研修に参加した割合 48位
・過去2年間において、 教員が数学分野の教育に関連する研修に参加した割合 49位

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:43893 )