イラク:国会選挙の実施に関する論争(2)
2017年12月17日付 al-Quds al-Arabi 紙
■イラクのスンナ派勢力は避難民300万人の帰還に先立った国会選挙の実施を拒否(2)
スンナ派の界隈では国会選挙の参加の是非をめぐり意見が割れている。(選挙への)主体的な参加が避難民の帰還と解放された街の復興を保証する新たな希望の光と考える者がいる。その一方で、選挙プロセスは公平さを欠いており、投票によって選出される議会と次期イラク政府の閣僚の中でスンナ派を代表する政治ブロックが弱いと視る者もいる。さらに、国民と政治家間の信頼の欠如によって、スンナ派から成る大衆による選挙ボイコットというシナリオが繰り返され、予定通りに選挙を実施することがますます困難になると考える者もいる。
サラーフ・マージド・アブー・ムハンマド氏はサラーハッディーン県アズィーズ・バラド市出身の避難民である。同氏は「イスラーム国」の戦闘員らから解放されて3年半が経過したにもかかわらず、民兵組織による禁止のため、未だに帰宅していない。彼は本紙に、「次の議会選挙への参加」を拒否すると明かした。
彼は「私の本望は、避難や荒廃、未来の喪失をもたらした政治的プロセスがこのような形で利用されないことである。サラーハッディーン県で立候補を意図する政治家は、誰を選出してもメリットは皆無だ。なぜなら、スンナ派の政治家たちは無能で、困窮する民衆に何も与えることができないからだ。民衆の半数は未だに野外の難民キャンプで暮らしている」と述べた。
同氏は以下のように続けた。「不当で宗派主義的な議席の配分や、シーア派構成員による国の治安機関と政治的決定に対する覇権が、これまでのシーア派諸政府においてスンナ派議員が弱体化した原因である。この過程で、スンナ派議員は金で買収された。2003年以降、スンナ派議員は舞台装置のようにイラク政府に続々と入った。そしてスンナ派議員に対して仲間の権利を主張する者は、テロ対策法4条に係る容疑でファイルが作成されて追跡の対象者となるか、刑務所に勾留された。」
また同氏は以下の旨呼びかけた。「まず憲法を改正し、その後完全に崩壊したスンナ派の諸県について海外勢力の覇権から脱するか、代わりの選択肢を取る。代替案とは、スンナ派のアラブ人が自らの未来を決めるために投票する国民投票を通した連邦制である。これは残りのスンナ派人民を守るためには避けられない苦い選択である」と述べた。
アンバール県の県都ラマーディに住む教員のサウドゥーン・ムハンマド・ダーヒー氏はアブー・ムハンマド氏とは全く異なった立場をとる。彼は「主体的に選挙に参加すべきだ。アンバール県の郡や各市の住民は、最も誠実でかつ清廉潔白、有能、誠意のあることで知られる人物を選ばなくてはならない」と述べた。
(後略)
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( 翻訳者:赤司萌 )
( 記事ID:43985 )