パレスチナ:国連総会明日開会、トランプの拒否権行使に対し「拘束力伴う」決議採択へ
2017年12月20日付 al-Hayat 紙
ローマ法王とアブドゥッラー2世ヨルダン国王(写真提供:AP通信)
■国連総会明日開会、トランプの拒否権行使に対し「拘束力伴う」決議採択へ
【パリ:ランダ・タキー・ディーン;ガザ:ファトヒー・サッバーフ;カイロ:ムハンマド・シャーズリー】
国連総会は明日(21日)緊急会合を開き、ドナルド・トランプ大統領のエルサレム「イスラエル首都」認定を拒否する決議案の投票を行う。これは、月曜日(18日)から火曜日(19日)にかけての深夜に、米国が安保理で同決議案に対し拒否権を行使したことを受けてのことだ。アブドゥッラー2世ヨルダン国王は昨日(19日)、バチカンでフランシスコ法王と、パリでエマニュエル・マクロン大統領と会談を行った。これらの会談では、今回の米国の決定がもたらす影響およびエルサレムにおけるイスラームの聖地管理においてヨルダン・ハシミテ王国が果たす役割が中心議題となった。
(パレスチナの)マフムード・アッバース大統領は今日(20日)、リヤドで二聖都の守護者サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王と副首相兼国防相のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と会談を行う予定だ。その後アッバース大統領はマクロン大統領と会談を行うために明後日(22日)パリへ向かう。一方、テレザ・メイ英首相はトランプ大統領と電話会談を行い、その中で「中東和平に関して米国が新たな提案を行うことの重要性」について合意し、エルサレム問題について議論を交わした。
仏大統領とヨルダン国王は、エルサレムは交渉を通じて持続的かつ公正な形で解決されるべき問題の一つであると確信していることを表明した。マクロン大統領は共同記者会見で、イスラエル・パレスチナ紛争の解決に向けた政治プロセスに至る必要性を強調するとともに、フランスと聖地の管理者であるヨルダンはこの点において共に役割を果たし、和平について信用に足る提案をすべく努力を続けたいと考えていることを強調した。同大統領は、トランプ大統領がエルサレムに関して宣言した一方的な決定を支持しないことを改めて強調した。また、同大統領はフランスがイニシアティブを提唱する可能性について、今は複数のイニシアティブがとられるべき時ではないとしてその可能性を否定しつつ、全当事者および隣国との対話・議論を継続する必要性を訴えた。
アブドゥッラー国王は、エルサレムは地域の課題という観点から主要な地位を占めていると述べ、エルサレムに関する米国の立場は国際法に反するものであり、エルサレムの地位は二国家解決案へと至る包括的交渉の枠内で扱う以外にないと述べた。同国王は本紙の質問に応じ、エルサレムの現状変更はいかなるものであれエルサレムと地域に住むキリスト教徒が置かれた状況に何らかの影響を及ぼすと警告を発し、この地域には最大規模のキリスト教徒が暮らしており、彼らは中東地域の過去・未来の一部を成していると指摘した。同国王は、解決の鍵は包括的解決のため両当事者を如何にして交渉のテーブルにつかせるかにある、との見解を示した。
マクロン大統領とアブドゥッラー国王は、会談でシリア情勢についても話した。仏大統領は、在ダマスカス仏大使館の再開はまだ提案されていないと述べ、重要なのは全当事者の代表権を保証し、シリアの統一性を守る包括的な政治的解決に向けて取り組むことであると述べた。また、バッシャール・アサド大統領について、仏大統領はシリアにおける仏の敵はダーイシュ(イスラーム国)であり、アサド大統領はシリア国民の敵であると述べた一方、移行期段階においてアサド大統領の存在は無視できないと述べた。
アブドゥッラー国王はバチカンを出てパリに到着した。バチカンではローマ法王と会談を行い、「私の友人、そして親愛なる兄弟」と言葉をかけた。同国王は、イスラームの聖地・岩のドームとキリスト教の聖地・聖墳墓教会とともにエルサレムの旧市街を描いた一枚の絵を法王に進呈した。バチカンは声明を発表し、その中で、法王とヨルダン国王は「友好的な雰囲気の中で会談を行い、会談では特にエルサレム問題に言及しつつ、中東の平和・安定の強化を中心に議論がなされた」と述べた。またバチカンの発表によると、国王と法王は「ヨルダン・ハシミテ王国の為政者が聖地の管理者として果たす役割」について議論し、「関係当事者間の交渉を促進し、諸宗教間の対話を強化すること」を約束した。
ニューヨークでは、ミロスラフ・ライチャーク国連総会議長が193か国の代表団に対し、明日緊急会合が開かれることを通知した。イエメンとトルコがアラブ諸国とイスラーム協力機構を代表し、同会合の開催を要請した。
パレスチナのリヤード・マンスール国連大使は、米国の拒否権行使により否決されたものと類似の決議案が総会の場に提出され、「極めて広範な支持」を得ることが予想されると述べた。同国連大使は、安保理とは異なり総会ではいかなる国も拒否権行使の権利を有していないことから、「総会では、拒否権を恐れることなく、米国の一方的な立場に対する国際社会の拒否が告げられるだろう」と述べた。
同様の文脈で、アラブ連盟のアフマド・アブー・ガイト事務総長は昨日、「アラブ諸国は、平和のための結集決議の下、全国連機関に対し拘束力を有するものとしてこの決議案を可決させるべく、国連総会に臨む」と述べた。同事務総長は、エルサレムをイスラエルの首都に認定するとした「米国の決定が招く悪影響に対応するため、パレスチナとアラブの双方の次元で複数の方策を検討している」と述べた。
ヨルダンの国営ペトラ通信は、ヨルダン政府報道官を務めるムハンマド・ムーミニー・メディア担当大臣が、「ヨルダンは、被占領地であるエルサレムの法的地位を確認し、米国の決定が違法であり国際社会の正当な決定および(関連する)すべての安保理決議に反していることを確認する方向に(議論が)確実に進むよう、国連の他のアラブ諸国とともに取り組む」と述べたことを伝えた。
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( 翻訳者:北本芳明 )
( 記事ID:43997 )