■レバノンにおいて廃棄物が診断不可能な健康被害を引き起こす④
レバノンは廃棄物の焼却に依存していることから、世界の環境に関する一部の法律や条約に違反していることは疑いようがない。だが知られていないことは多い。同国は国内の特定の法律にも違反しているのだ。本件につき「レバノン環境運動」の法律顧問ジョジヤーン・ヤズベク氏は以下のように説明する。「廃棄物の焼却はレバノンの環境保護法、つまりレバノン環境法第444号法の第3条に違反している。本条は安全な環境に関する人権を定めている。これに加えて第4条、具体的に言えば「予防措置」という第1の原則への違反は言うに及ばない。この原則では、科学的なデーターに依拠しつつ、実質的かつ適切な手段を用いること、また予期され、かつ(環境の)健全化にとり受容できない損害が環境に及ぶという脅威の回避を目的としたクリーンでよりよい技術を用いることが定められている」。
国際的なレベルでいうと、レバノンは廃棄物焼却に関して自国が調印した条約に違反している。とりわけ締約国が(温室効果)ガス排出を引き起こす行為の撲滅、あるいはそのできる限りの軽減に取り組む、ないしは調印国が廃棄物の安全な管理を行うと定める条約に違反している。これらの中には、直接的に関わるものとしてストックホルム条約、バーゼル条約、京都議定書がある。また廃棄物と焼却を直接扱ってはいないものの、環境全般に関わる合意も含まれる。ストックホルム条約の第17条は、この条約への違反および、条約違反が認められた締約国の処遇の方法につき制度的なメカニズムを承認することが定められている。ヤズベク氏が言うところでは、「しかし我々は、今日までこの条項が適用された場面を見たことがない。この条項への違反で責任を問われた国があったと聞いたこともない」。これに加えて同氏は、「もし何らかの問責があるのであれば、それはレバノン、あるいは他国に対してだろう」と述べ、また以下のことに注目した。「廃棄物焼却の損害を受けている一般市民にとって、2014年に発行された251号法に従って、こうした犯罪を調査する権限を持つ環境検察に出向くことは不可能だ。251号法は刑事裁判基本法を修正したものだ。私たちには環境の様々な事柄に関係する違反の調査を専門とする法務長官がいるようになった」。さらに同氏はこれに関連して、複数の法律を刷新していき時代に適応させていくことが必要だと指摘した。
(5)に続く
この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:宮下香純 )
( 記事ID:44048 )