■レバノンにおいて廃棄物が診断不可能な健康被害を引き起こす⑤
レバノン政府は2012年、廃棄物の処理を総合的に扱う法案に合意し、この法案を議会に付託した。法案に基づいて、環境省をトップに置いた廃棄物の処理に関する統一委員会が設置されることになっている。統一委員会が国内レベルでの対処と意思決定の主体となる一方で、廃棄物の収集は地方自治体に任せる予定だ。なお「SWEEP-Net」が2014年に実施した調査は、この法律だけではレバノンにおける廃棄物処理の制度をカバーするには十分ではないと指摘している。
同様に政府は2006年に環境省と開発復興協議会と共に10カ年計画を策定した。これは1997年の非常事態時に含まれなかった地域を対象としたものだ。この計画は廃棄物の収集と分類、リサイクル、堆肥化を各区の管轄センターと共に行うことを確立するはずだった。だがこの計画は実行されていない。
その一方で、「レバノン環境運動」のポール・アブー・ラーシド代表は、ベイルートと山岳レバノン県における廃棄物に関する環境解決プロジェクトを開始し、本プロジェクトをEU使節団代表のクリスティーナ・ラッセンに提出した。その中で同代表は、海上にあるゴミ埋め立て地の閉鎖と国際条約、特にバルセロナ地中海汚染防止条約の順守を提案し、このプロジェクトがあらゆる地域に無作為に広がるゴミ山にブレーキをかけると説明した。同代表は、この解決は実行が早く、焼却するよりもはるかに速いと説く。費用は約2100万ユーロに達し、ゴミ1トンあたり100ドル、つまり1年間に1億ドル供給されるという。これに加えて、新しい雇用機会、またリサイクル産業に必要な一次産品とエネルギー生産のための代替燃料が供給されるという。
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( 翻訳者:宮下香純 )
( 記事ID:44049 )