パレスチナ:イスラエル立法府が「エルサレム統一」法を可決、和平交渉の新たな障害に…
2018年01月03日付 al-Hayat 紙


■「エルサレム統一」法はイスラエルによる解決方法の強制のはじまり

【ラーマッラー:ムハンマド・ユーニス;ナザレ:アスアド・ティルハミー】

パレスチナ当局は、イスラエルの立法府クネセトが可決した「統一エルサレム」法を非難した。この法律により、エルサレムの一部を放棄することが制限される。パレスチナ当局はこれをパレスチナ人に対する「宣戦布告」とみなし、イスラエルが政治的解決を事実上強制し始めたことに警告を発した。また、エジプトの情報筋は本紙に対し、アラブ諸国は和平プロセスを全体的に見直す方針であることを明かした。

クネセトは、イスラエル・パレスチナ紛争の解決に関して将来行われるであろう交渉の形式について―それがどのような交渉であれ―、深刻な障害を生じさせた。クネセトは反対51に対し連立与党の全議員(64議席)の賛成を受け、「基本法:エルサレム」の改正を承認した。この改正により、将来いかなる紛争解決の枠組みにおいても、クネセト議員の3分の2(80議席)以上の支持がない限り、統一エルサレムの土地を「他の政体または外国主権」に移譲することは一切許されないことが定められた。この数字の賛成票を得るのはたとえ重要度の低い問題であっても難しい。なお、この改正をこの先撤回するには、「たった」61の賛成票を得ればよいとのことだ。

クネセトでの投票は、与党リクード党中央委員会が、イスラエルの主権を西岸とガザに及ぼすことを同党の義務とする決議案を全会一致で採択した翌日に行われた。この決議では、最初の一歩は東エルサレムにある大型入植地マアレ・アドゥミームの併合であると強調し、これに続く形で残りの入植地や西岸の約3分の1の面積を占めるヨルダン渓谷等の西岸の広い部分を併合するとした。

イスラエル右派幹部らはこの法律の制定を祝した。ザイーフ・エルキン・エルサレム担当大臣は、「今日、我々はエルサレムの一体性を永遠のものにした…オリーブ山や旧市街、エルサレムは永遠に我々と共にあるだろう…今後我々の首都をバラバラにするような政治ゲームは起きないだろう。これが、エルサレムに対する国連の恥ずべき投票行動に対するイスラエルの返答である」と述べた。

パレスチナ大統領府のナビール・アブー・ラディーナ報道官はこの法律を批判し、「宣戦布告」とみなした。PLO交渉局のサーイブ・アリーカート局長はさらに踏み込んで、「これは解決方法の強制の段階である…(特定の)解決方法を我々に強いようとするイスラエルと米国の新たな段階である」と述べた。アリーカート氏は、この段階において強制される解決策とは、エルサレムやヨルダン渓谷を含む西岸の半分以上を(イスラエルに)併合し、チェックポイントや領海、領空、セキュリティーに関するコントロール権はイスラエルに委ね、パレスチナ人には西岸の小さい部分に政体を、エルサレム郊外に首都を持つことを許すことである、と述べた。同氏はトランプ政権が前政権の立場を覆したことを非難し、バラク・オバマ前大統領からマフムード・アッバース大統領に宛てられた親書の存在を指摘した。同親書でオバマ前大統領は、エルサレムを首都とした67年の国境線に基づくパレスチナ国家の樹立に米国がコミットすることを表明した。アリーカート氏は、トランプ大統領と彼のチームは和平プロセスの再開を協議する目的でパレスチナ側と36回会談を行ったが、最終的に彼らは、20年間両者の関係が立脚してきたあらゆる基盤ごと、このプロセスを破綻させたと述べた。

パレスチナ当局は、国内的・地域的・国際的な措置・手段を通じて、イスラエルの政策に対抗する準備をしている。アリーカート氏は、パレスチナ側は国連におけるパレスチナ国家の完全なメンバーシップを取得するために、再度安保理にかけあうつもりであると述べた。同時に、パレスチナの高官らは、アッバース大統領がハマースとイスラーム聖戦に対し、今月(1月)6日に行われるPLO中央議会に出席するよう呼びかけたことを話した。同議会はパレスチナ国民を代表する小規模の議会として機能している。なお、ハマースはこれに参加する意向である。

ハマースは「エルサレム・インティファーダ」の拡大を呼びかけ、同組織のファウズィー・バルフーム報道官はクネセトの決定について「聖地に対する一連の攻撃の延長であり、パレスチナという存在を狙った攻撃、歴史の改ざん、現実を偽る行為である」と述べた。同報道官は、「最近の事態の動向を受け、アッバース大統領はオスロ合意および治安部門の協力の終了、イスラエルという存在の承認の撤回を宣言する必要がある」と指摘し、「米国とイスラエルの過激な人種差別政策に立ち向かうため、エルサレム・インティファーダを拡大させる」ことを訴えた。

時を同じくして、エジプトの外交筋は本紙に対し、「イスラエルの最近の決定に対するアラブ諸国の動き」について明かした。同情報筋によると、今回の一件は次の土曜日(6日)にアンマンで開かれるアラブ6か国の外相会合で議論される。同会合の出席者らは、和平プロセス全体に対するアラブ側の立場について協議する予定だ。同情報筋は、(イスラエルが行った)最近の二つの決定は「和平プロセスの前に新たな障害を生じさせ、二国家解決案に痛烈な一撃を加えるものである」との見解を示した。同情報筋によると、「イスラエルの増長はエルサレムに関する米大統領の決定を後ろ盾にしたものであり、他方、パレスチナ人およびエルサレムを首都とする国家の宣言というパレスチナ人の正当な望みに対し、イスラエルは反対の姿勢を強めている」。同情報筋は、「パレスチナ人に制裁を科すクネセトの決定を遺憾に思う。パレスチナ人は和平プロセスに応じ、二国家解決案を中心とした和平イニシアティブに再三同意してきた」と述べた。

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( 翻訳者:北本芳明 )
( 記事ID:44085 )