パレスチナ:欧州5か国がパレスチナ自治政府にオスロ合意の破棄とイスラエルへの国家承認撤回を踏み留まるよう求める
2018年01月15日付 al-Hayat 紙
イスラエルへの国家承認中断を決定するパレスチナ中央評議会(写真提供:ロイター)
■欧州5か国がパレスチナ自治政府にオスロ合意の破棄とイスラエルへの国家承認撤回を踏み留まるよう求める
【ガザ、ラーマッラー:ファトヒー・サッバーフ、ムハンマド・ユーニス】
ラーマッラーのパレスチナ解放機構(PLO)中央評議会は、ドナルド・トランプ米大統領のエルサレム首都宣言の影響について二日間に渡って協議した。本紙が得た情報によると、欧州主要5か国はその間に、パレスチナ自治政府に対してオスロ合意の破棄またはイスラエルへの国家承認の撤回を評議会で決定しないよう求めた。5か国は「二国家解決策およびエルサレムが二国家の首都であること、または入植活動への拒否、または解決策をパレスチナ人に押し付けることへの拒否に対する立場を、我々が変更することはない」と強調した。一方、イスラエル人の注目は、マフムード・アッバース大統領が用いた「トランプに災いあれ(注:一般的な呪詛の表現。直訳は“アッラーがトランプの家を破壊する”)」というフレーズに集まった。アッバース大統領は、トランプ大統領がパレスチナ人が交渉を拒否したと非難したことについて話をした際、この表現を用いた。
アッバース大統領の演説とパレスチナ政府高官の声明から推察するに、自治政府はイスラエルと大っぴらに衝突することはせず、和平に向けて米国が主導する「世紀の取引」に対して守りの姿勢をとっている。イスラエルと衝突すれば、パレスチナ人の血が流れ、自治政府の崩壊に至る。また、複数のパレスチナ政府高官らが中央評議会の会議において、オスロ合意の破棄とイスラエルへの承認撤回および同国と結んだ各種合意の破棄を提案した。しかし、アッバース大統領の側近らはラーマッラーの本紙に対し、同大統領はイスラエルとの対決に入ることはせず、同国と結んだ各種合意の束縛から抜け出すことに取り組むだろうと述べた。同大統領の側近らは、こうした取り組みは「状況が許せば、現状の関係の上に成り立つ枠組みの変更に取り組むことを通じてなされる」と述べるとともに、「しかし我々は考えなしの無謀な行為をとるつもりはない」と述べた。
アッバース大統領の側近らは、同大統領を不安にさせているのは、米国政府がいわゆる「世紀の取引」をパレスチナ人に押し付けようとしているのではないかという予想であると明らかにした。側近らは、欧州の政府高官から得た情報により、トランプ大統領とそのチームは、自分たちの計画が「交渉ではなく実施に向けたもの」であるとの認識の下、次の段階では実際にその解決策を押し付けようとするだろうと指摘した。PLO執行委員会のアフマド・マジュダラーニー委員は、トランプ大統領と彼のチームは「成功しないだろう」と述べ、「彼らは自分たちの提案を受け入れるパレスチナ人を誰一人見つけることができないだろう。我々は、いかなる解決策であれ、それを我々に押し付けようとする一切の試みに抵抗する」と述べた。
日曜日(14日)から月曜日(15日)の夜にかけて2時間にわたって続いたアッバース大統領の演説で述べられた全内容の中から、イスラエル・メディアが長時間取り上げたのは、パレスチナ人の出席者を笑わせた「トランプに災いあれ」のフレーズだった。アッバース大統領は、交渉を拒否したとしてパレスチナ人を非難したトランプ大統領について話した文脈で、この表現を口にした。アラビア語のアンミーヤに精通しているユダヤ人ジャーナリストらは、(この表現を用いることで)アッバース大統領は(トランプ大統領を)罵ろうとしたわけではないことを説明しようとしたが、大多数のメディアはこの発言をトランプ大統領への罵倒であり同大統領の不幸を願う呪詛の言葉であるとの見解に走り、同大統領に代わり毅然とした態度で応じることを約束した。一方、イスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防相は、アッバース大統領は「理性を失い、交渉を放棄している」と述べた。また、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に近い立場をとるイスラエル・トゥデイ紙は、アッバース大統領は理性を失い、「自分自身そして自国民の墓穴を掘っている」との見方を示した。
(後略)
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( 翻訳者:北本芳明 )
( 記事ID:44167 )