イエメン:サウジの財政支援を受け、イエメン・リヤルが価格回復
2018年01月19日付 al-Hayat 紙
イエメン・リヤル紙幣
■サウジの財政支援を受け、イエメン・リヤルが価格回復
【サヌア、アデン:ジャマール・ムハンマド】
サウジアラビアが20億ドルをイエメン中央銀行に送金した後、イエメン・リヤル価格は急激に上昇した。直近の外国為替市場において1ドル当たり500リヤルで取引されていたが、送金後は400リヤル以下になるまで価格が上昇した。ここ数日、かつてないほどの下落を見せていたイエメン通貨は、サウジアラビアの送金により回復した。アデンの中央銀行の為替レート情報によると、1ドル当たりのイエメン・リヤル価格は一昨日(17日)、買いが390リヤル、売りが396リヤルを記録した。
イエメン国民は、外国通貨に対するイエメン・リヤル価格の上昇により、高騰した生活必需品や食料品の価格が下がることを期待している。これらの商品の価格高騰は、(イエメン国民の)困難な生活状況をさらに悪化させた。イエメン中央銀行のムナッスィル・ガイーティー総裁は、サウジアラビア政府から中央銀行の海外口座に20億ドルが振り込まれたことを確かに確認したと発表した。これにより、同銀行が有するハード・カレンシーの外貨準備高が補われ、イエメン・リヤルの為替レートの安定の支えになる。ガイーティー総裁は声明で、「中央銀行の外貨準備高がこれだけの額補われたことにより、海外における当銀行のステータスは当然改善され、海外のコルレスバンクとのビジネス関係も改善されるだろう」と述べた。同総裁は、中銀はこれより、市中銀行がアデンの各事務所から国内外の銀行取引の管理を強化し、外国為替市場を規制・コントロールし、リソースを有効利用・管理する良好な流れをつくるための措置をとる、と指摘した。
ガイーティー総裁は、「サウジアラビアからの送金は、イエメン経済のニーズに応えるものである。これにより、外貨需給調整力の向上、貿易収支・貿易外収支の赤字から生じる格差の是正、および支出バランスの全体的な改善のための新たな地平が開かれる」と述べた。同総裁は、サウジアラビアからの送金を受け、「中銀は、国内外の経済間でなされる商取引の結果生じる、外為業務上の責務を全うするための真の機会を得た。これにより、イエメンの生活上のニーズを満たすほか、生活必需品・サービスといった国内市場のニーズを満たすための政府プログラムを実施する。さらに、クーデターを起こしたフーシー派民兵が首都サヌアを占拠し、中銀の外貨準備高を枯渇させたことにより生じた諸問題、およびその後銀行部門に大きな損害を与えた悪しき慣行・状況を乗り越えていく」と述べた。
アデンでは、アフマド・オベイド・ビン・ダグル首相の下で閣議が開かれた。同首相は閣議の中で、「アブドラッボ・マンスール・ハーディー大統領が過去の決定で承認した4つの委員会を再度召集することをはじめ、リヤルの下落を食い止めるための経済的な問題・処置」を議論した。これにより、「一般規制の策定やこれらの委員会を通じて生じる業務の監督・再編を行うほか、経済の安定確保や経済危機からの脱出に取り組む。これらの危機は、フーシー派民兵がクーデターや、国庫およびハード・カレンシーの外貨準備高の略奪によりもたらしたものであり、その損害規模は52億ドルに上る」とのことだ。
閣議では、「貿易業者や実業家、中央銀行、外貨両替施設との明確なパートナーシップ・メカニズムを策定する必要性」が確認されたほか、「イエメン通貨や国民の生活、およびイエメン経済が被る損害に対して、一部の貿易業者が無責任な行動をとることを阻止するため、国家として一連の措置をとる必要性」が確認された。
閣議では、「中央銀行と関連する諸機関、および銀行が責任を負っていること、金融監督の役割を強化すること」が強調されるとともに、各政府機関に対して「完全な透明性をもって対応にあたり、国の総合収支を公表し、汚職対策に取り組む」よう指示が出された。さらに、「閣議の下、二聖都の守護者サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王がイエメン中央銀行に20億ドルを送金するよう指示し、イエメン国民の苦しみを取り除こうとしたことを同胞として高く評価する。これらの措置は、イエメンの為替レートを中心とした金融・経済状況の改善の一環としてなされたものであり、これによりイエメン国民の生活状況に良い効果がもたらされるだろう。二聖都の守護者は、サウジアラビア王国がイエメン政府を引き続き支持し、イエメンの治安・安定の回復に向けて同政府がその責務を果たそうとするのを支援し続けると述べた」との指摘がなされた。ビン・ダグル首相は、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子に向けて、「イエメン情勢を、関心をもってフォローし、イエメン政府が経済・金融・治安面での自国の安定を実現しようとするのを常に支えてくれている」ことに対する感謝の意を示した。同首相は、「今回の寛大な無償援助に加え、サウジアラビアはこれまでもイエメンを支援してきた。そして引き続きイエメン政府を支持し、治安と安定の回復に向けて同政府がその責務を果たそうとするのを支援し続けると述べている。こうした事実は、同胞に寄り添おうとする二聖都の守護者の高潔な姿勢を体現しているとともに、状況が変わっても二聖都の守護者が一貫してイエメン国民に寄り添い続けることを表すものである」と指摘した。
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( 翻訳者:北本芳明 )
( 記事ID:44197 )