ロシア天然ガストルコルート、黒海海底50時間の旅
2018年06月09日付 Hurriyet 紙


ロシアから黒海をとおりトルコとヨーロッパへ天然ガスを輸送する計画である、トルコストリーム天然ガスパイプライン事業の第1フェーズが完了に近づいている。
ロシアのアナパを起点とし、海に敷設されるパイプは、クルクラーレリ県クユキョイで終わり、天然ガスを陸に運び出す。
天然ガスがパイプラインをとおる旅は50時間にも及ぶ。2019年末には天然ガスの流入が開始される予定だ。


ロシアから黒海をとおりトルコとヨーロッパへ天然ガスを輸送する計画である「トルコストリーム」天然ガスパイプライン事業の第1フェーズが完了に近づいている。
海の中に敷設されトルコに天然ガスをもたらす最初のパイプラインがトルコの海に到達した。
ロシアのアナパを起点とし、海に敷設されるパイプは、クルクラーレリ県クユキョイで終わる。アナパから運ばれるガスはクユキョイまで50時間で到達する。2019年末には天然ガスの流入が開始される。

トルコストリーム事業の広報であるアスル・エセンは「オールシーズ社に属する船舶ローレライが2018年の第4四半期にクユキョイの海岸に来る予定で、浅瀬にパイプを敷設してパイプを引く作業を完了します。ローレライはここでの業務を数週間で完了する予定です」と述べた。

■次は第2のライン 

ロシアのガスをヨーロッパに運ぶ第2のラインについても、作業を迅速に進めている、とアスル・エセン担当者は説明し、このように続けた。

「船舶パイオニア・スピリットが第2のパイプラインを完了するためにオランダから昨日出航しました。この巨大船は、すでにトルコストリームの第1パイプラインの全てを建設し、第2ラインであるロシア・トルコ間の排他的経済水域の境界線までの224km分の区間をも建設済みです。
パイオニア・スピリットは、第1ラインをクユキョイまで運んだ後、他の作業のために北海へ向かいました。
同船は、トルコストリーム事業のために再び黒海へ戻っているところです。パイオニア・スピリットはその後のパイプ敷設作業を引き継ぎ、第2パイプがクユキョイの岸へ到達することになります。」

■両国は協議の机に
 
トルコストリーム天然ガスパイプラインについての進展をアスル・エセン担当者は以下のように評価した。

「陸上のラインは石油ガス・パイプライン輸送株式会社(BOTAŞ)により建設されます。リュレブルガズでトルコ側の配送線に接続するためのEIA(環境アセスメント)が完了しました。

陸上のラインからヨーロッパへのびる第2のラインのため、ガスプロム社(注:ロシアの国営企業)と石油ガス・パイプライン輸送株式会社(BOTAŞ)のJVであるトルコストリームガス輸送株式会社を設立するための協定書が先週署名されました。
第二の陸上パイプラインも、このように迅速に進展することが期待されます。

天然ガスをヨーロッパに運ぶラインがギリシャ経由、ブルガリア経由となるかの選択肢が未だ議論の渦中です。この件に決着がつく明白な日付をあげることは不可能です。しかしこれについても迅速に完了することでしょう」

■仲介輸送によるリスクの解決策となる 

ロシア国家エネルギー保障基金副代表のアレクセイ・グリヴァフ氏は以下の発言をした。 

「トルコはロシア天然ガスのトップレベルのの購入者だ。ドイツに続き第2の購入者となっている。
昨年、ロシアはトルコへ290億(m3)の天然ガスを供給した。つまりトルコの天然ガス需要量の55%をロシアがまかなったのだ。

ご存知のとおり、ロシアの天然ガスはトルコへ西ライン(注:ウクライナ、モルドバ、ルーマニア、ブルガリアを経由するルート。West 1)とブルーストリームの2つのラインから来ている。
昨年、この二つのラインの容量の90%以上が使用された。

ロシア天然ガスの半分近くがウクライナ、モルドバ、ルーマニア、ブルガリアを経由してトルコへ延びる西ラインから来ている。

ウクライナとの間では長年にわたり移送についてしばしば問題が発生している。1998年にロシア天然ガスの90%がロシア経由で輸送されていた。現在、この割合は40%台まで下がっている状況であるが、未だ非常に高いままである。

ロシアにとって長期契約における義務を果たすことはエネルギー保障の問題である。トルコはこの契約の関係者の中でも主要な国である。トルコストリーム・パイプラインはこの移送リスクを解決するものとなるだろう。

第1ラインはトルコのエネルギー保障を確実とし、また第2ラインはヨーロッパ南部・南東部にとって同様の機能を果たすだろう」

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( 翻訳者:山口 南 )
( 記事ID:44901 )