イスラエル:イスラエルはアラブ諸国を懐柔してヒジャーズ鉄道の再建を企む (1)
2018年06月25日付 al-Quds al-Arabi 紙
■倒錯したヒジャーズ鉄道:イスラエル、アラブ統一に向けて働きかける
【本紙】
イスラエル運輸・交通安全省がハイファ(パレスチナ)とヨルダンのイルビドを結ぶ歴史的なヒジャーズ鉄道の一部区間の建設について公式入札の掲示を発表したことには、単なる出来事を超え、かつ解釈と分析に大きな余地のある政治的、象徴的な意味が含まれている。
まず初めに、このニュースは、近代国家が存在せずアラブの地が開放されていた時代を、アラブ人(及びトルコ人)に思い起こさせる。
ヒジャーズ鉄道は、地理的・政治的な意味で中東地域の住民を現代世界へと組み入れた。アブデュルハミト2世によって建設され、1908年に工事が着工したこの鉄道は、ハウラーン台地のボスラ(シリア)からマアーン(ヨルダン)とラアス・ナカブ(エジプト)とジッダ(サウジアラビア)を経由して、パレスチナ・ヨルダンに至る支線と共にダマスカス―メディナ間の公道を開通した。これに加えて、この鉄道はハッジの旅程を40日から5日にまで短縮した(ダマスカス総督は「アミール・ハッジ」と呼ばれていた)。この鉄道のおかげで、オスマン帝国は第1次世界大戦でイギリスからの攻撃に2年間持ちこたえることができた。1916年にイギリス軍と(「アラブ大反乱」の枠内での)アラブ諸部族からなるイギリスの同盟者らが、ヒジャーズ鉄道を破壊したことは、オスマン帝国そのものの象徴的な終焉だった。鉄道が破壊された余波として、アラブの地理的統合の終わり、アラブの運命に対する西洋の植民地支配、パレスチナの災難があった。
長い間、アラブの政治的特性、中でも特に民族主義的イデオロギーの主流を占めてきたのは、「アラブ共同体の再統一(及び社会主義と「自由」による支配)こそが、イスラエルを殲滅するための第一歩である」という言辞であった。ところが実際に起きたことと言えば、アラブ諸国における前述の案件を遂行すべく権力を掌握した民族主義諸政党が、鉄と火によってアラブ諸国の分断を固定化した。さらに民族主義諸政党は、植民地主義の行為を上回る専制的手法を民衆に強いた。そしてイスラエルに対する抵抗の呼びかけは、イスラエルへの擦り寄りと媚び諂い、パレスチナの人々と彼らの問題から手を引くという宣言、さらには恥ずべき政治取引の場で彼らを売り払うという結果に終わったのである。
(記事ID: 45060 に続く)
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( 翻訳者:了源康平 )
( 記事ID:45060 )