トルコ・リラ下落の五つの理由
2018年08月05日付 Cumhuriyet 紙

為替レートでのドル高騰の影響を受けないようにと、政府が提案した解決策の一つが人民元での貿易であった。しかし、数字は、トルコ・リラが、ドルあるいはユーロだけに対してだけでなく中国の通貨単位である人民元も含む多くの通貨単位に対して価値が下落しているのを示している。ここ1年でトルコ・リラは、ドルに対して44%下落している一方、人民元に対する下落も42%であった。

大統領府の閣議による100日間活動計画では、対外市場で中国に向けて人民元を通じて債券発行を行うと公表された。他方、輸出において優先国とされた中国とは自国通貨で貿易を行う予定だ。観光省が準備した活動計画によると、中国人観光客は、人民元でトルコで買い物ができるようなる予定だ。

さて、このような措置が問題の解決においてどれほど影響があるのだろうか。数字によると、トルコは対中国で純輸入国という立場である。昨年、中国から233億ドルの輸入を行った一方、輸出は29億ドルにとどまった。これもトルコが中国に233億ドルに等しい人民元の支払いを行ったということである。純輸入額が204億ドルであるということは、これに相当する人民元をトルコ・リラを売って補填しなければならない。他方で、資金調達を人民元を通じて行うことは、トルコに十分な人民元がなければ、トルコ・リラを売って人民元を買うということを意味する。トルコが輸入額と債務額の合計額を賄えない限り、トルコはトルコ・リラを売って中国人観光客用の人民元を買わなければならない。このことも市場でトルコ・リラが下落し続ける一方で、人民元の価値がさらに増加するという図式を生み出している。

■全世界で下落

最新のデータによると、1人民元は、0.7440トルコ・リラである。昨年のこの数字は、0.5243トルコ・リラであった。これにより、人民元の価値は、トルコ・リラに対してこの1年で21.9クルシュ上昇した。同時期におけるドルのトルコ・リラに対する価値の増加は1.55リラであった。人民元は、 2013年8月に0.3334トルコ・リラであり、[10年前は?]0.1729トルコ・リラ程度であった。このように、人民元の価値はここ5年間で123%、10年間で330%上昇した。他方、他の貨幣に対しても状況は変わらない。

トルコ・リラは、ここ1年間でブラジル・レアルに対しても22%、ロシア・ルーブルに対して36.2%、メキシコ・ペソに対して38.8%、インド・ルピーに対して33.8%、日本円に対して43.8%、韓国ウォンに対して31%、スイス・フランに対して41%、イギリス・ポンドに対して43.5%、ユーロに対して41.5%下落した。

■下落の理由

トルコ・リラの下落は、ドルの価値が世界的に高まったことよりもトルコ経済で根本的な諸問題を抱え、選挙前後に続いた政治的な不透明さが直接的な原因である。トルコ・リラ下落の原因は端的に言うと以下のように列挙できる。
1.経済政策に対し信用不安、不透明さを感じている
2.インフレ率の高騰、借款と経常収支の赤字の増加
3.中央銀行の政策金利の決定への疑義
4.実質利子の下落とアメリカの通貨政策の正常化
5.貿易摩擦、アメリカの制裁と投資家が危険を察知した国からの撤退

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:45198 )