■クルディスタン地域選挙の延期要請後におけるクルド諸勢力の立場の食い違い(1)
【アルビール:バースィム・フランスィース】
イラクのクルディスタン地域における議会選挙の再延期要請を受け、選挙の延期とそれを求めた勢力の「言い訳」をめぐってメディアが集中砲火を行う中、クルド諸勢力の立場の食い違いが明らかになった。一方で、選挙委員会は域外の有権者に対し、資金的、技術的な理由により投票所を開設することができないだろうと明かした。
「クルディスタン愛国同盟」の幹部らは、期日どおりに選挙にとりかかる準備ができているにもかかわらず、「選挙を延期せねばならない合理的な理由」が存在することを明らかにした。また、同党幹部のマラー・バフティヤール氏は今年の5月に行われた連邦議会選挙と、来月(9月)末に予定されている(クルディスタン)地域の選挙を示唆して、「短期間で2つの選挙プロセスにとりかかることは合理的ではない」と強調した。彼は「クルド諸勢力がイラク政府の組閣交渉に明け暮れることと選挙運動にとりかかることは同時にはできない」と述べた。
これを受け、複数の情報筋は次のように指摘した。「幾多の正当性があるので大多数の勢力は選挙の延期を支持するか、あるいは反対していない。正当性とは(具体的には)イラクの選挙をめぐる危機や長期化しそうな組閣交渉が未だ終わっていないことや、イラク県議会選挙と今年末の地域議会選挙の日程が近いことであり、そのことが政党レベル、選挙委員会レベル双方の金銭的な負担に加えて、有権者たちが複数の投票プロセスに参加したいという気持ちに水を差している。」
「クルディスタン愛国同盟」の幹部ハーキム・カーディル氏は「クルディスタン民主党」との会合後の記者会見において、「我々は議会や政府が発するあらゆる決定に従うだろう、我々が(選挙の)延期に向けて動いているなどと言われていることはすべて事実無根だ」と述べた。また、バルザーニー(が党首を務めるクルディスタン民主)党の幹部らも同様の声明を発し、声明の中で同党が選挙戦の準備ができていると明らかにした。
(2)に続く
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( 翻訳者:片居木周平 )
( 記事ID:45214 )