エルドアン、米誌に寄稿
2018年09月11日付 Cumhuriyet 紙


エルドアン大統領は、ウォールストリートジャーナル誌(WSJ誌)に寄稿した記事で、「イドリブへの攻撃が迫る中、国際社会の全メンバーは自らの責任に気づかなければならない。必要な行動を取らないことの代価は、とても重くなるだろう」と述べた。

エルドアン大統領は、アメリカのWSJ誌に、シリアとイドリブ県に関する記事を書いた。

エルドアン大統領は、「イドリブは、橋に至る前の最後の出口だ。もし、ヨーロッパとアメリカを含む国際社会が今必要な行動を取らないならば、その代価は、シリアの罪なき人々だけでなく全世界が払うことになるだろう」と述べ、記事には次のように書いた。

「アサド政権は7年間、トルコ南部の国境でシリア国民を、独断的な逮捕や組織的な拷問、大規模な処刑、樽爆弾、化学兵器や通常兵器を使用して標的にしている。国連人権理事会が『第二次世界大戦以降最大の人災』と称するシリア内戦の結果、数百万もの罪なき人々が難民となり、あるいは自国で自分たちの場所を追いやられた。

シリアの人々の苦しみを和らげるために異例な努力を払っているトルコは現在、約350万人の難民を、すなわち他の国々の全体がしているよりも多くの人々を受け入れている。同時に、我々のすぐ近くで活動しているテロ組織・イスラム国とクルディスタン労働者党(PKK)の標的となっている。しかし、我々の人道支援の取り組みにかかる高いコストも、安全への懸念も、我々の決意を鈍らせたことはない。

■「トルコは危機の政治的解決策を見出すために外交的な試みに出た」

トルコは、このような困難に直面したとき、同時に危機の政治的解決策を見出すために外交的な試みに出た。こうした中、我々はシリア反体制派をジュネーブでの交渉の場に呼び、ロシアとイランとともにアスタナ・プロセスを開始した。その結果、トルコは停戦協定を締結し、非戦闘地域を設け、体制側の攻撃下にある地域から人民を解放することを実現した。

現在、我々は再び重大な扉の前に立っている。イドリブは、300万の人々を受け入れており、迫害されたシリア人にとって最後の安全な港の1つとなっている。そのイドリブへアサド政権は、同盟国の援助もあって、大きく攻撃を仕掛けようとしている。トルコ政府は、この攻撃を防ぐために非戦闘地域の建設に寄与し、停戦協定の違反を証拠付けて報告するために12の観察地点を造った。

■「テロとの闘争という名の下で、罪なき人々が犠牲になってはならない」

アサド政権は、まもなく行う攻撃を、テロとの闘争の基で正当化しようとしている。ハッキリと述べよう:シリアの危機が当該地域へ不安をもたらし始めて以来、重大なテロ攻撃の標的となっているトルコ以上に、テロとの闘争の重要性をよく理解している国はない。しかし、バッシャール・アサド大統領の解決策は偽物だ。テロとの闘争の名の下で、罪なき人々が犠牲になってはならない。このような動きは、新たなテロと過激派の温床を生み出す原因となるだけだ。実際、イスラム国の出現は、シリアで起きていることの原因ではなく、結果となっている。国際社会は、テロが根付くのを防ぐためにこの苛酷な状況を制御しなければならない。

我々は、イドリブで同様の問題に直面している。タハリール・アル=シャーム(HTŞ)を含むテロ組織は、この地域で活動を続けている。しかしこれらの組織は、イドリブの全人口のごくわずかな部分しか構成していない。テロリストらと過激派組織を無力化し、外国人兵士を罰するために必要なのは、包括的かつ国際的なテロとの闘争作戦だ。トルコがシリア北部でテロリストに対し展開している闘いにおいて、重要な役割を果たしている穏健な反体制派が行う支援と手引きは、イドリブでも非常に重要となるだろう。

■「国際社会は自らの責任に気づかなければならない」

イドリブへ行われる攻撃を防いでも、テロとの闘争という動きを止めることにはならないだろう。トルコは、イスラム国 やPKKのようなテロ組織との闘争において、民間人を傷つけることなく成功をおさめた。我々は、テロの影響を受けている地域で安定を再び確保するために、多くの殉職者を出した。トルコがシリア北部の秩序を守ることができるというのは、責務としての、テロとの闘争というアプローチが現地の人々の支持を得られるということの最も明らかな証拠である。

イドリブへの攻撃が迫る中、国際社会の全メンバーは自らの責任に気づかなければならない。必要な措置を取らないことの代価は、とても重くなるだろう。我々はシリアの人々をバッシャール・アサド大統領の良心に委ねることはできない。アサド政権のイドリブ攻撃の目的は、本当はテロと戦うことではなく、無差別攻撃で反体制派を排除することだろう。政権によるこの攻撃は、同時にトルコとヨーロッパの残りの国々、その他の国々にとって、重大な人的リスクと安全上のリスクを生み出すだろう。

■「ロシアとイランにも人災を防ぐ義務がある」

今日まで化学的な攻撃に焦点を当ててきたアメリカは、この独断的な死のヒエラルキーを否定するべきである。なぜなら、通常兵器が一層多くの死をもたらしたからだ。しかしながら、起きようとしている殺戮を止める責任は、欧米だけにあるのではない。アスタナ・プロセスにおける我々のパートナー・ロシアとイランにも人災を防ぐ義務がある。

イドリブは、橋に至る前の最後の出口だ。もし、ヨーロッパとアメリカを含む国際社会が今必要な措置を取らないならば、その代価は、シリアの罪なき人々だけでなく、全世界が払うことになるだろう。

トルコは、隣国で起こる殺戮を防ぐためにできる全てのことをした。我々の努力が結実するためには、世界の残りの国々が目先の利益を顧みず、政治的な解決を支える必要がある。」

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:45373 )