イラク:米軍撤退の決定を受け、イラク政府はシリアでの新たな役割を模索(1)
2019年01月05日付 al-Quds al-Arabi 紙
■米軍撤退後のシリアにおけるイラクとその新たな役割
【バグダード:本紙、ムスタファ・アビーディー】
米軍のシリアからの撤退とイラクでの残留というドナルド・トランプ大統領の決定を受け、イラク政府はこの決定による影響に本格的に対処することについて大きな関心を抱いているようだ。イラクでは、シリアとの国境沿いに存在する「ダーイシュ」の脅威や、2014年6月に「ダーイシュ」が突如モースルに出現した際のシナリオが繰り返されることに対する不安が増大している。こうした中、イラク市民の間ではシリアの混迷する紛争を終わらせるために交わされた地域および国際社会の取り決めに従って、米国のシリア撤退によって生じる空白を埋めるためにシリアで果たすべき新たな役割について議論されている。
イラクのファーリフ・ファイヤード国家安全保障担当顧問は、イラク政府からの書簡をシリア政府に届けた。また、同氏はシリアがイラク軍に対してシリア領内の「ダーイシュ」の残党を追跡し、その後同国内にある「ダーイシュ」構成員の拠点を空爆するための権限を付与したとの情報を伝えた。これにより、国内のみならず地域および国際レベルでの紛争・干渉によって混迷するシリアにおいて、イラク政府が果たす新たな役割が示された。
イラクの動きは、イラク軍がこれまでシリアで実施してきた軍事行動の強化である。イラク軍は、過去にテロ組織の拠点に対する越境空爆・砲撃を実施してきた。加えて、(イラクの)シーア派部隊・民兵は、シリア政府軍を支援しシリア反体制派との戦闘に参加した。しかし、この局面においてイラクの役割が肥大化するのは確実である。これは、米軍撤退による空白を埋めるためであり、また一方でシリア国境地域に「ダーイシュ」が再び舞い戻り、同組織の戦闘員がイラクに対して新たな攻撃を行うことへの不安が増大していることが原因となっている。
(2)へ続く
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( 翻訳者:赤司萌 )
( 記事ID:46046 )