学長ハティプオールの珍妙見解
2019年01月18日付 Cumhuriyet 紙
ガーズィアンテプ・イスラム科学技術大学の学長に就任したニハト・ハティプオール氏は、TV等で行っていた宗教番組でおなじみの人物である。「叔母の娘も叔父の娘も、従姉妹も又従姉妹もみな結婚できる」との発言で知られるハティプオール学長は、お風呂には裸で入らないよう提言している。同性愛を「流行り病」と断じる同学長は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」は預言者ソロモンの人生が元になっていると主張していた。学長就任に関する決定は、官報で発表された。ニハト・ハティプオール教授は、2日前に「イスラム」という単語を大学名に追加したガーズィアンテプ・イスラム科学技術大学の学長に就任した。ハティプオール学長はツイッターでの発表において、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領に感謝を述べた。ハティプオール学長は、「ガーズィアンテプ・イスラム科学技術大学の学長に就任することになりました。万能の神アッラーによるご加護がありますように。私にこの職務を与えてくださった大統領へ、私に任せてくださったことを感謝します」とコメントした。
以前にもエルドアン大統領によって高等教育機構(YÖK)のメンバーに選出されたハティプオール氏は、政府寄りのATVチャンネルで放送された宗教番組でよく知られている。ハティプオール氏は世間の反感を買うような発言が非常に多い。以下は、こうした発言の一部である。
■「女性に好かれる」と発言した女性への返答
2018年5月20日にatvがスルタンアフメット広場から生放送で行った番組では、マイクを受け取った女性の観客が「女性として生まれたが、自分を男性のように感じています。女性から好かれることも多いです。これを治す方法はあるのでしょうか」といった質問が向けられた。そうした状況は心理的な問題であると強調したニハト・ハティプオール氏は、その女性観客の質問に対して次のように回答した。「あなたは自分を律し、自分自身の感情をしっかりと支配しなければなりません。これはあなたにとっての試練なのかもしれません。あなたは戦わなくてはならないのです。一時の感情ではなく、信仰と知性に身を委ねることが、あなたにとってより正しい行いとなるでしょう。」
■「叔母の娘も叔父の娘も従姉妹も又従姉妹も、みな可能」
2017年6月22日、ニハト・ハティプオール氏にある観客が「先生、姉の娘と結婚することは可能でしょうか」と質問した。「ええ、私は叔母の娘と結婚しました。私の妻は、私の叔母の娘です。結婚してもう35年になります」と答えたハティプオール氏は、さらに以下のように続けた。「叔母の娘も叔父の娘も、従姉妹も又従姉妹も、みな結婚可能です。コーランでは、ハラールや不道徳とされる婚姻関係が明示されています。そのため、叔母や叔父、従姉妹の娘と結婚することに宗教的な禁止理由はありません。預言者ムハンマドは、自身の娘を誰に嫁がせましたか?そう、アリーにです。聖アリーとは何者ですか?彼は預言者ムハンマドの叔父の息子です。そうでしょう?預言者ムハンマドは、自身の娘を叔父の息子に嫁がせたのです。質問してくれてありがとうございます。」
「『ロード・オブ・ザ・リング』がインスピレーションとなった」
ニハト・ハティプオール氏は2016年7月4日に行った講演で、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の預言者ソロモンの人生にインスピレーションを受けたと主張した。同氏はスルタンアフメト広場で何十人もの観客を前にした生放送において、預言者ソロモンの人生について語った。預言者ソロモンの軍隊の偉大さ、そして彼が魔物らの群れに飛び込むことを教えたと語るニハト・ハティプオール氏は、彼の指には指輪がつけられていたと話した。預言者ソロモンのこの指輪が映画「ロード・オブ・ザ・リング」のモチーフにもなっていると話すハティプオール氏は、世界的に有名な組織においてもこの指輪の力が議論されていると主張した。
■家に居着く天使と悪魔
2017年5月28日、ニハト・ハティプオール氏は番組内で電話をつないだ視聴者の「家が小便のような臭いがします。何が原因でしょうか」という質問に対し、「家にあなた以外の者がいます」と回答した。ATVで宗教番組を担当する同氏に電話相談をした視聴者は、家の特定の場所で小便をした形成があり、それは臭いといい湿り具合といい小便のあとに違いないと話した。その視聴者は家でコーランを詠んでいるが、この現象を防ぐことができないと述べた。ハティプオール氏は、電話の相手に事件に関する質問を向けた後、家には相談者以外の者が住み着いていると話し、「あなたの家には人間に寄りつく天使や悪魔がいます」と話した。
■格付け番組で画像を見せた
ニハト・ハティプオール氏は、2016年5月11日に格付け番組で画面の前の人々にアゼルバイジャンから送られてきた「天使」の画像を見せた。その画像がアゼルバイジャン人の視聴者から送られてきたものであると説明し、アゼルバイジャンのテレビでも放送されたと強く主張したニハト・ハティプオール氏は、「2人の子どもが火事で亡くなりました。その火事の最中にこの写真は撮影されたもので、2つのオブジェクトが上空に向かっているように見えます。この画像に写ったものが、亡くなった子どもたちの魂であるか否かが質問されています」と話した。この発表後に画像が映し出されると、ハティプオール氏は驚きを隠せないといった表情をした。画像に映し出されたものは鳥には見えないと話したハティプオール氏は、「あらゆる可能性があります。アッラーが罪のない子どもたちの魂を天へと導いているのかもしれません」と述べた。
■祈りを捧げるオウム!
2016年3月11日、ニハト・ハティプオール氏は視聴者に以前ソーシャルメディアで共有された動画を見せた。ハティプオール氏は、オウムの画像にモンタージュされた詠唱と「祈りを捧げるオウム」というコメントと共にソーシャルメディア上で共有された画像を本物であると考え、番組内で放送したのであった。
■反発を招いた同性愛に対する見解
2015年6月29日、男性として生まれてきたが女性のように振る舞う人々の宗教的な居場所はどこか、という質問にハティプオール氏は回答した。同氏は同性愛を流行り病であるとし、「その人を病院、または神学者のもとへ連れて行きなさい」と述べた。
■浴室で裸になるな
2015年1月18日、ニハト・ハティプオール氏は「お風呂で裸になれるか」という質問に対し、「丸裸になって入浴することは忌まわしいことです。なぜならその状態でいることが良くないからです」と回答し、次のように述べた。「ではどうするのか。服の下に着ているショーツも脱がずに入浴するのです。最後にそれらをすべて脱いで洗い流すのです。しかし、人生において一度も裸にならない、ということではありません。裸になることが一切なければ、その人はどうやって清潔を保てるでしょうか。そんなことは不可能です。これは注意が必要です。」また、入浴に関するファトゥアーを述べた後、すかさず寝室に関するファトゥアーについても述べたハティプオール氏は、「夫と妻が互いにアプローチするときも、裸になることはありません。彼らは毛布を被るでしょう」と発言した。
■海賊版を支持
2015年1月9日、ニハト・ハティプオール氏に対して「インターネットで音楽や書籍をダウンロードすることは宗教的に合法か」という質問が向けられた。この質問に回答するのは難しいと話したハティプオール氏は、「それを反対する人がいないのであれば、誰もがダウンロードするでしょうし、反対する人がいても無料であればなにもできることはありません」と述べつつ、以下のように回答した。「作者にお金が渡ることを考えれば、有料のものを入手すべきでしょう。作者は作品を売ってお金を得ているのですから。みながインターネットから(無料で)ダウンロードすれば、作者は収入を得ることができません。しかし私から作者へのアドバイスとしては、例えば民間の出版社がそれを阻止しなければ、私は合法的に自分の著書をみなに自由にダウンロードできるようします。しかしながら、貧しい人々に対して作者は規範的であるべきです。貧しい人々こそダウンロードできるようにすべきです。あなたは音楽を商業目的ではなく、ただ聴くためにダウンロードしているのでしょう。好きな音楽をダウンロードして聴くことができるのです。どうか素敵な音楽を聴くようにしてください…。」
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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:46128 )