イスラエル:アラブ系学校向けの教科書、用語をヘブライ語読みへ改訳(1)
2019年02月01日付 al-Quds al-Arabi 紙
イスラエル:アラブ系学校向けの教科書、用語をヘブライ語読みへ改訳(1)
■イスラエルのアラブ人学生向けの新しい教科書、パレスチナやエルサレムなど地名や歴史的用語の表記の改訳
【ナザレ:ワディーウ・アワーウダ】
イスラエル教育省はさらなるイスラエル化、ユダヤ化を企図にまい進する中で、アラブ系学校向けの新しい公民科の教科書の改訳を承認した。教科書の名前は「イスラエルの統治体制と政治」で、著者はアブラハム・ディスキン氏だ。ユダヤ系右派で組織されるコヘレット・フォーラムが出版、出資している。同省は改訳を監督する同フォーラムに対し、パレスチナとエルサレムの地名をそれぞれヘブライ語表記に改めるよう義務づけ、パレスチナを指す「国」の用語についても「イスラエルの土地」と表記を改訳させた。また当該の教科書は、シオニストの基本的な歴史叙述に従い、(パレスチナの土地について)1948年以前は「住民のいない土地であった」との一文を付加、記載している。今回の改訳の最終承認を行った閣僚メンバーについて、同省はアラブ人の専門家を意図的に任命しなかった。同省は来年の初めに合わせて、当該教科書の印刷、1948年被占領地内にあるアラブ系学校への配布に着手するものとみられている。
イスラーム運動のマスウード・ガナーイム議員は『本紙』に対し、本件につき以下のコメントを述べた。「ナフタリ・ベネット教育大臣の下で教育省が行った今回の教科書の一部用語や概念の改訳命令は、過激な民族主義者であるベネット大臣が、イスラエル領内にいるパレスチナ人とパレスチナ人学生にシオニスト右派の歴史叙述を強要する政策の一環だ」と述べた。また、「今般の措置は、文化的・教育的なユダヤ化政策であり、パレスチナの歴史や政治地理に関して偽装された嘘の筋書きを、イスラエル領内のパレスチナ人学生に与えようとする策略なのだ」と付言した。
さらに、教育問題にも明るいガナーイム議員は加「公民科の課題は、教育にとって多様性や様々な立場を受け入れる機会であり、自己表現の場をもたらすものだ。また、学生が持つ批判的な思考、対話の価値に再び息を吹き込む機会にもなる。しかし、これらの代わりにイスラエル教育省は、公民科の課題を政治の論壇の場にしようとしている。その論壇を通じて、ベネット大臣は自身が属する宗教的なシオニスト潮流の思想を拡散する」と述べた。
(2)へ続く
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( 翻訳者:堀嘉隆 )
( 記事ID:46234 )