社説:ニュージーランドのテロ攻撃の遠因(1)
2019年03月15日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ニュージーランドのテロ攻撃の遠因
【社説】
ニュージーランドのクライストチャーチで起きた、2つのモスクに対する血みどろの攻撃は、数十名の死傷者をもたらしたが、この攻撃は一群の重大で象徴的な逆説を提起している。イスラームやムスリムの歴史だけではなく、人類の歴史全体の中でも困難なこの時代は、それらの逆説で満ちている。
第一の逆説は、ニュージーランドという国でテロ攻撃が起きたことにある。遠く離れたこの小国の出来事を耳にすることは珍しい。また、世界的な重大事が起こる中心地から地理的に隔絶していることにより、世界の諸問題に関して、存在感を示すことは滅多になく、その影響力も微小なものに過ぎない。このことが意味し、示すのは、最も大きな紛争に無関係な地理的な場所などこの地球上に存在しないということだ。
第二の逆説は、攻撃の対象として「キリストの教会」を意味する「クライストチャーチ」が選ばれたことだ。その意図は勿論、攻撃が宗教的特性を持つ印象を与え、キリスト教徒とムスリムの間を血によって隔てる境界線を引くことである。このことは我々に、すぐさま、ウサーマ・ビン・ラーディンが2つの共同体を「2つの幕屋」に隔て、「ユダヤ教徒とキリスト教徒に対するジハード基地」を設立した近い過去、そしてアラブ・イスラーム世界が十字軍作戦に対抗した遠い過去を想起させる。
(2)に続く
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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:46457 )