神聖なるラマザン月後にトルコを取り巻くバイラムの興奮は数百万の人々を突き動かしている。ラマザン・バイラムまであと数時間を残すというところで、最も気になる話題の一つが、「バイラムの礼拝は何時に行われるのか」という問いへの答えだ。さて、トルコ全国の国民たちが気になっている、県ごとのバイラム礼拝の時刻とは……。
バイラム礼拝のカウントダウンが始まった。数百万のイスラム教徒たちが、今日(6月3日)ラマザン・バイラムを礼拝で迎えることとなる。トルコ国民は、この神聖なバイラムに先立ち、「バイラムの礼拝は何時に行われるのか」、「礼拝はどのように行うのか」、「バイラムの礼拝にはいくつのレカート(注1)があるのか」などの疑問への答えを求めている。では、イスタンブル、アンカラ、イズミルをはじめとする、各県のバイラム礼拝の時刻とは……。
■イスタンブル、アンカラ、イズミルのバイラム礼拝時刻
イスタンブル:午前6時13分
アンカラ:午前6時1分
イズミル:午前6時27分
■バイラムの礼拝はどのように行う?
バイラムの礼拝は集団で行う。礼拝の時間になると、イマーム・ハティプ(注2)はエザーン(注3)やキャーメット(注4)を詠唱することなく、ラマザン・ バイラムあるいはクルバン・バイラムの礼拝を行うニイェト(意思)を述べる。信徒集団も同様に礼拝を行うために、目の前のイマームに従うとニイェトを述べる。
イマームは、「アッラーフ・エクベル(アッラーは偉大なり)」と唱えてテクビル(注5)をし、両手を組む。会衆も同じくテクビルをし、両手を組む。イマームと会衆は、声を出さずに「スュブハーネケ」の祈り(注6)を唱える。その後、「アッラーフ・エクベル」とテクビルを行い、両手を耳の高さまで上げてから下ろす。そして同様に、もう一度「アッラーフ・エクベル」とテクビルを行い、両手を上げて下ろす。3回目は、もう一度「アッラーフ・エクベル」と唱えてテクビルを行ったら、今度は両手を組む。各テクビルの間は、「スュブハネッラーヒルアズィーム(大いなるアッラーの栄光を称え奉る)」と3回言いながら待つ。この後、会衆は静かに待つ。イマームは、声を出さずに「エウズュ・ベスメレ」(注7)を唱え、コーランの開端章ともう一つ別の章を声に出して読む。そして立礼と平伏をしたら第2のレカートに入る。第2のレカートでは、イマームが声を出さずに「ベスメレ」を唱え、再び開端章ともう一つ別の章を声に出して読む。その後、イマームと会衆は「アッラーフ・エクベル」とテクビルを行い、両手を耳の高さまで持ち上げ下ろす。続けて、同様にもう一度テクビルを行い、両手を上げ下ろす。そして、同じく3度目のテクビルをし、両手を上げ下ろす。最初のレカートのように、第2のレカートでも各テクビルの合間は「スュブハネッラーヒルアズィーム」と3回唱えながら待つ。3度目のテクビルの直後には、「アッラーフ・エクベル」と唱えながら立礼する。立礼と平伏は、第1のレカートと全く同様に行われる。2回目の平伏のあとは座った体勢になる。「アッタヒッヤート」、「(アッラーフンマ・)サッリ」、「(アッラーフンマ・)バーリク」、「ラッベナー・アーティナー」、「ラッベナー・グフィルリー」の祈り(注8)を唱え、左右に挨拶(注9)をして礼拝を終える。
この作法によれば、2回あるレカートで、他の礼拝よりも余計に3回ずつテクビルが行われるが、このテクビルを「ゼヴァーイド・テクビル」と呼ぶ。このテクビルは必ず行われるものである。
シャーフィイー法学派によると、各レカートで開端章を読む前に、第1レカートでは7回、第2レカートでは5回のテクビルを行う。
挨拶を終えると、イマーム・ハティプがミンバル(説教壇)に上がり説教を行う。この説教は、金曜礼拝の説教と同じく2部構成である。説教を始める際は、 「アッラーフ・エクベル、アッラーフ・エクベル、ラー・イラーヘ・イッラッラーフ・ウェッラーフ・エクベル、アッラーフ・エクベル、ウェリッラーヒルハムドゥ(アッラーは偉大なり。アッラーの他に神はなし。アッラーに栄光あれ)」とテクビルを唱える。会衆もこれに加わる。
イマーム・ハティプは、バイラムの説教では一般的に、バイラムの一体性について語る。イスラムの同胞愛や相互扶助といったテーマについてである。また、ラマザン・バイラムの説教ではザカート(義務的喜捨)やサダカ(自発的喜捨)について、クルバン・バイラムの説教ではクルバン(生贄)やテシュリク・テクビルについて説く。
テシュリク・テクビルとは、クルバン・バイラム前日の朝の礼拝から始まり、バイラム4日目の2回目の礼拝が終わるまでに23回、義務である礼拝のあとに行われるテクビルのことをいう。このテクビルは必ず行われる。
テシュリク・テクビルは、「アッラーフ・エクベル、アッラーフ・エクベル、ラー・イラーヘ・イッラッラーフ・ウェッラーフ・エクベル、アッラーフ・エクベル、ウェリッラーヒルハムドゥ」という文言である。
【訳者注】
(1)礼拝における一連の動作、1セット。
(2)宗教指導者。イマームは「導師」、ハティプは「説教師」を意味する。
(3)近辺のイスラム教徒に礼拝の開始を知らせ、モスクに集まるよう伝えるための呼びかけ。
(4)礼拝の開始を告げる呼びかけ。
(5)「アッラーフ・エクベル」という祈りを唱えること。
(6)(7)(8)いずれも、祈りの句の通称。
(9)「アッサラームアライクム、ヴェ・ラフメットゥッラー(貴方方に平穏とアッラーの慈悲あれ)」と挨拶する。
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( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:46901 )