■ジャバルティー:ムハンマド・アリー・パシャについて
【カイロ:本紙】
近代エジプトの歴史運動は、アブドゥッラフマーン・ジャバルティーの著名な歴史書『伝記と歴史における事績の驚くべきこと』によって始まる。ジャバルティーは,中世から近代へ移行する時期のエジプトに生きた。この移行期は、激動の時代とされている。第一オスマン帝国時代の後期、フランスの遠征、そしてムハンマド・アリー・パシャの治世のうちのおよそ20年を含むからだ。ジャバルティーは、1689年以降のエジプトで起きた出来事を彼の年代記に記録した。そして、彼は1757年から1821年にかけて生じた様々な出来事の目撃者でもあった。この期間は、停滞・破壊の時代とルネッサンス・建設・革新の時代を画すエジプト史における重要な時期だった。ジャバルティーの著作である『伝記と歴史における事績の驚くべきこと』と『フランス王朝の撤退における神意の顕現』における彼の叙述は、近代エジプト史の叙述の土台とみなされている、というのも、彼は支配者らに媚びることなく史実を語り、豊富な知見を持ってエジプト社会の諸問題を扱い、それらに妥当な評価を下したからだ。またジャバルティーは、当時のエジプトの様々な個性を詳細に説明した。これによってイギリスの歴史家アーノルド・J・トインビーは、ジャバルティーがその領土において栄華を誇る文明の歴史の一時代を叙述する重荷を双肩に担ったギリシャのトゥキディデスに例えた。それゆえに彼はエジプトの誇りなのだ。
(後略)
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( 翻訳者:櫻井優希 )
( 記事ID:47072 )