私立学校の三分の一は教団関係
2019年08月05日付 Cumhuriyet 紙
教育政策専門家エセルギュル・バルジュ教授が2018年に準備した報告書によると、トルコでは260万人が教団または宗教団体と関連がある。教団または宗教団体のメンバーであると述べる人の9%が「穏健派イスラーム」という表現を拒み、イスラームの核心は聖戦であると信じている。
バルジュ教授のフィールドワークによると、トルコでは30の教団とその支派が400ある。イスタンブルだけで活動している修道場の数は445である。
スィールト、ディヤルバクル、マルディン、アドゥヤマン、バトゥマン、ヴァン、ハッキャーリ、アール、ムシュ、ビトリス、ガズィアンテプ、シャンルウルファでは、宗教団体や教団に属する800を超える活動中のマドラサ(神学校)がある。さらに、調査ではイスタンブルで「アパート・マドラサ」として使われている場所は数知れずという。
報告書は、公正発展党が政権に就くと同時に都市の中心部のマドラサの数が急速に増加し、特に東部と南東部地域では「コーラン教室」がもはや協会の傘下で活動を続けていると注意を引いている。
■1万の私立高校の3分の1が教団関係
教団または宗教団体が組織化や支持者を獲得するために使う方法の一つが教育機関の開設である。ギュレン派の組織化にも、高校、大学、予備校を通じて支持者を獲得し、その後この生徒たちを官僚組織に送り込んでいた。
国民教育省のデータによると、トルコで1万53校の私立の教育機関があり、バルジュ教授の報告書によると、この教育機関の3分の1が教団または宗教団体関係である。この関係の学校で教育を受けた生徒数は21万人を超える。
公正発展党政府は2014年に法改正を行い、私立学校で教育を受けた生徒への教育支援を始めた。これにより、2500リラから3000リラの支援を受ける生徒数は、国民教育省が毎年明らかにすると決定された。
法律改正が行われた初年は、支援を受ける生徒数は25万人と発表された。バルジュ教授の報告書によると、教団や宗教団体関係の私立学校で教育を受ける生徒のために国は8億9880万リラを支出した。
さらに、報告書によると、トルコで4000を超える私立の学生寮のうち、2480が教団または宗教団体関係である。
トルコで活動している主要な教団は、ナクシュバンディー教団、カーディリー教団、ルファーイー教団、メヴレヴィー教団、ハルヴェティー教団が挙げられる。
この中で最も人数の多いナクシュバンディー教団は、メンズィル教団、イスマイル・アー教団、イスケンデル・パシャ教団、エレンキョイ教団傘下で4つの異なる派で活動を続けている。
他の大きな宗教団体のうちスレイマンジュ教団、ウシュクチュ教団、ヌール教団は、ナクシュバンディー教団から別れ教団化した組織である。ヌール教団は、内部に44の派がある。ギュレン派は、ヌール派の支派の一つである。
神学関係者たちによると、宗教団体は現代になって出現した組織である。教団はというと、その起源は預言者ムハンマドの時代にさかのぼる。
■教団が従うべき原則
イスラーム史の研究を行う作家アイドゥン・トンガは、「教団(タリカット)」とは神に到達するためにたどる道という意味であると述べている。トンガ氏は、これにより教団が従わねばならない連綿とした原則が存在していると述べている。これらの中で最もよく知られていることは、世界の恩寵の数々から自らを純化し、信仰の説く全ての命や禁令を実行することである。
しかし、現代トルコにおける教団や宗教団体ではこれを見ることは不可能である。特に、「お金持ち達の教団」として知られているエレンキョイ教団、スレイマンジュ教団、メンズィル教団や他の多くの教団では、実益上の関係がある。こうした宗教団体や教団に属する会社、病院、私立学校の存在である。
■収入源は会社と寄付
専門家と前信徒によると、教団や宗教団体の最も重要な収入源はというと、組織内での事業と寄付である。教団や宗教団体の中には信徒に雇用の機会を提供し、収入の一部を回収しているものもいる。定期的に信徒から寄付を集める団体もある。しかし、多くの教団や宗教団体が雇用を創出し、そこから得た収入を財源として使用していることは知られている。
作家のトンガ氏は、「教団は現時点で当初の目的から遠ざかり、さらには自身の歴史を裏切るかのように企業化している」と述べた。
■自分たちを隠す必要性を感じていない
同僚のバルシュ・ペフリヴァンとともに『転移』という名の本を執筆した新聞記者のバルシュ・テルクオウルは、メンズィル教団を最大規模の教団の一つと説明する。
ドイチェ・ヴェレのトルコ語版のトゥンジャ・オーレテンの記事に基づいてメンズィル教団を説明したテルクオウル氏は、この教団の信徒たちが官僚組織の中で明白に自分が信徒であることを隠さずにいると主張した。メンズィル教団の信徒が、特に保健省、軍警察、ギュレン派を放逐した警察組織内で組織化した状態であると述べた。
テルクオウル氏によると、イスケンデル・パシャ教団も高等司法内で組織化している。
憲法裁判所(AYM)は、2016年に拘束中の新聞記者ジャン・デュンダルとエルデム・ギュルに対して権利の侵害という判決を下した。当時、政府に近しい諸々の新聞たは、同裁判所のズュフテュ・アルスラン長官を判決を理由に批判した。さらに、一部はギュレン派のメンバーであると主張した。アキット紙の記者ファルク・キョシェは、ツィッターのアカウントでアルスラン長官について次のように発信している。「ズュフテュさんとは政治学部以来の知り合いである。国民的視座/イスケンデル・パシャのラインに属していた。ハック・ヨル財団に属する家で1年間ともに過ごした。」
教団や宗教団体は、大別すると2つの方法で組織化されている。一つ目は、教団所有の教育機関を通じて、二つ目は闇に落ちたあるいは犯罪に関わった人々が購うため拠るべき場所として。
■私は避難する港を探していた
イスタンブル出身34歳のS.Aもその中の一人である。約3年間、麻薬を使用していたS.Aは、依存症から脱却するためにハルヴェティー教団の支派の一つに入信した。友達の仲介でウスキュダルにある修道場に通い始めたS.Aは、「私は空っぽであった。避難する港を探していた。私は信仰心の篤くはなかった。しかし、修道場のジクルと雰囲気は私にとても影響した。毎週通い始めた」と述べた。
S.Aは、教団のリーダーが信徒全員の生活をコントロールしていると説明した。「転職や結婚についてリーダーに相談し、承認を得なければならなかった。見た夢が何を意味しているのかを必ずリーダーに尋ね、人生についてもリーダーに導いてもらわなければならなかった。敬意を払わなければならず、彼を預言者の様に見なければならなかった。彼が口にするすべての言葉は法律のようなものであった。」
では、教団や宗教団体はイスラームという宗教に適っているのか。この問いの答えを神学者のジェミル・クルチ氏が与えた。クルチは、「クルアーンでは明確かつ明白に『党派化するな。グループごとに分かれるな。アッラーの糸にしっかりと包まれなさい。党派化した者とならないよう』という言葉がある」と述べた。クルチ氏によると、グループ化や宗教団体の形成は、本来、クルアーンで認められておらず、否定された方法である。
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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:47307 )