トルコ映画:セミフ・カプランオール監督、オスカー候補作『アスル』を語る
2019年09月04日付 Hurriyet紙


2020年に行われる第92回アカデミー賞の国際長編映画賞のトルコの本選候補作として発表された映画「アスル」の脚本と監督を務めたセミフ・カプランオール氏は、映画は現代世界における女性と母親になることがもたらすジレンマに焦点を当てていると語っている。


カプランオール監督は、「赤ちゃんは母親のおかげで自分を認識することができます。この映画の根底にも、実際にこの意味における離別を、別の言い方をすれば目に見えない繋がりの物語が存在します。『アスル』は、「繋がり」という題をつけた三部作の第一作目になります。二作目となる「ハサン」は今現在、その撮影を行っているところです。「繋がり」の三部作のそれぞれの物語は、メインキャラクター達を中心に構成しています。」と回答した。

「繋がりの三部作」を構成する最初のパーツとして生み出されたこの新作映画が、9月20日に劇場公開されるカプランオール監督は、映画のストーリーとオスカー候補までの道のりを、書面での発表とともに以下のように評価をした。

発表で、一作前の映画である『グレイン』の制作を5年かけて完遂したというカプランオール監督は、「『グレイン』の制作を終えてすぐに、このプロセスの間にたくさんの物語を自分の中に蓄積していたということに気が付いたのです。『グレイン』の鏡の中から世界を覗き見ること、人間を見ることは私に非常にたくさんのことへと呼びかけたのです。とりわけ今日の人間が抱えている今日の人間の数々の矛盾、外身と内面の不調和、言葉と思考が伴っていないこと、思考、活動と心の動きの間にある距離というのは私にたくさんの物語を書かせたのです。」という表現を用いた。

大部分のシナリオを完成させたものの、それ以上の物語の蓄積があるということに言及したカプランオール監督は、以下のような表現をした。「もしもチャンスがあるのならば、勿論その全てを撮影したいと思っています。映画『アスル』もこのうちの一つなのです。このシナリオを執筆している際に私の頭には最も近いところにいる母親たち、若い母親たちに起きた問題が存在していました。赤ちゃんと共に生きることがもたらす様々な困難、仕事生活、仕事に復帰したかったり、復帰したくなくなる心の葛藤、子供のために割く時間が次第に減っていってしまうこと・・・
これらに加えて年上の世代、祖母や祖父たちとは異なったライフスタイルを選択しているため、もはや仕事をする母親たちは自分の赤ちゃんをベビーシッターもしくは幼稚園に預けなければならなくなります。どの状況であれ、実際のところ子供に対しての目は不十分なままです。赤ちゃんと母親をそれぞれ離れ離れにしてしまう現代の生活は、母親と子供の両方にトラウマを植え付けてしまうと思うのです。」

カプランオール監督は、イギリス人心理学者のアダム・フィリップス氏の「赤ちゃんは乳離れをしたときに(母親とは)違う体を獲得したということを理解する。」という言葉を引き合いに出して、「これは、赤ちゃんにとって最も大きいトラウマなのです。なぜならば赤ちゃんは母親によって自分自身を認識しています。この映画の根底にも、実際にこの意味における離別の、別の言い方をすれば目に見えない繋がりの物語が存在します。
『アスル』は、「繋がり」という題をつけた三部作の第一作目になります。二作目となる「ハサン」はというと今現在、その撮影を行っているところです。「繋がり」の三部作のそれぞれの物語は、メインキャラクター達を中心に構成しています。ごく普通の、私たちがよく知っていて、とても近い存在や、さらには自分たち自身の物語を語っているのです。私たちが生きた、そして生きている今現在の時の、様々な事件の背後にあった真実と私たちをそれぞれ繋げている見えない結びつきを見ようとしているのです。」という表現を用いた。

■『アスル』は最初のデジタル映画作品

映画の準備と撮影の段階に七か月間を要したと強調した監督は、以下のように語った。
映画「アスル」は私にとって初めてのデジタル映画作品なのです。これより以前の私の映画は、常に35mmフィルムで撮影されました。はっきり申し上げまして私にとって技術的な意味で未知の要素で満ちたプロセスでした。沢山の新しいことを学びました。またその一方で映画の全編に近いシーンはリール装置を覗き見るセットで撮影されました。これも私にとっては初めてのことでした。

これに加えて7か月の赤ちゃん(アルミナ・カブジュ)と共に仕事をすること、一緒にいるというのは私にとって得難い体験でした。俳優陣はキュブラ・キプ氏をはじめとして多大な配慮をして仕事をしてくれました。なぜならばとにかく私たちの全ての撮影時間を、赤ちゃん役のリズムに合わせなくてはいけない状況だったのです。」

セミフ・カプランオール監督は、映画のオスカー候補への道のりについては以下のような言葉で評価をおこなった。「さらに以前には2010年に『蜜蜂』で私はオスカーへ挑戦しました。その当時の外国語映画賞の選考委員会の代表者は『蜜蜂』が(本選ノミネート作品となる)5作品に非常に近かったと言ったのです。おそらくは私たちは今回は確かな結果を得ることが出来ると思います。もしもそうなれば、初めてトルコ映画がこの選考の本選に残る5本に入ることになるのです。映画に携わるチーム全体としてこの問題に、私たちの共同プ
ロデューサー、文化・観光省そして国外の配給と宣伝会社との間で調整を行っています。
実際のところ私は今まで観客たちを外国の観客と国内の観客というように分けて考えることなどありませんでした。なぜなら国内にいるときも外国人(の観客)がいて、国外にいるときも、たくさんのトルコ人がいるのですから。」

カプラン・フィルムとシネハーネの共同制作である『アスル』のメインキャストは、キュブライ・キプとエジェ・ユクセルがそれぞれ務めている。

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(翻訳者:堀谷加佳留)
(記事ID:47532)