どうなる2新党ー世論調査会社、分析
2019年09月15日付 Cumhuriyet 紙


アフメト・ダヴトオール氏とアリ・ババジャン氏の新党結成の決定が、ロビーを盛り上げている。アンケート各社はそれぞれまったく別の見解を示している。新党がトルコを早期選挙に導きうると主張するものもあれば、新党について政治的地盤がないと述べるものもある。ある調査会社はダヴトオール氏の得票を3.5~4ポイントと見ているが、別の調査会社は結成される2党の得票は1.7%のみとなるだろうとしている。

公正発展党(AKP)からの除名の決定を受けて辞職したアフメト・ダヴトオール元首相が、新党結成に乗り出したと報じられた。ドゥヴァル紙のセルカン・アラン記者の報道によると、アリ・ババジャン元大臣も、新党結成に乗り出したことを、日程を挙げて明らかにしたという。選挙の動向を探り、政治家らが行程表を発表する際必要とするデータを提供している各調査会社のオーナーたちは、AKPから離党した政治家らが結成する新党が、トルコの政治に与える影響についてコメントした。

■「トルコの有権者の3分の1は新党に期待」

MAKコンサルティング社のメフメト・アリ・クラト社長によると、政治シーンへの登場に備えている2つの政党の社会的な反応がどのようなものになるかを評価するには、2つの段階で創設者を見ることが必要だという。「市民に聞くためには、政党の詳細を見ることが必要だ」と言うクラト氏は、このプロセスの中でアフメト・ダヴトオール氏ともアブドゥッラー・ギュル元大統領とも会ったことのあるうちの1人だ。

クラト氏は、新たに結成される党が大統領制において選挙に勝利するために必要な50+1%に非常に大きな影響力を持つと説明し、次のように述べた。

「今の時点での2党の得票率がどのくらいか判断することは、まったく正しくない。トルコで有権者が新たな政党を期待する傾向は、ここ何年もの間見られている。3か月に1回行っている調査で『新党が必要か』と尋ねると、トルコの有権者たちの3分の1が新党を待っていると答えている。民族主義者行動党(MHP)の分裂前は、MHPの支持基盤がより多くそのことを表明していたが、地元の有権者らからの新党結成への期待は以前は共和人民党(CHP)において多く見られた。今では、AKPの支持基盤で新党への期待が高まりつつある。」

■「ダヴトオール氏は10月、ババジャン氏は11月に結党」

クラト氏は、ダヴトオール氏は10月に、ババジャン氏は11月に新党を結成することが期待されていると述べ、2党が立っている場所と彼らがアピール対象の有権者が非常に重要だとして、次のように続けた。

「特に、アリ・ババジャン氏を党首として表に出る政党は、より包括的なものとなると考えている。アフメト・ダヴトオール氏の政党も 包括性が非常に重要だ。ダヴトオール氏が結成する政党は、AKPにおいてより影響力を増すだろうと、私は考えている。なぜなら、組織の重要な職にいた人々を辞めさせているからだ。彼らは古いと言うこともできるが、アンカラの、そしてイスタンブルの、県知事を務めたことがある人物であれば、支持基盤に重要な影響力を持つと考えている。」

クラト氏は、2党の結成後に世論調査で本当の結果がわかるだろうと述べ、「現在、この2人に投票するかもしれないと言う有権者もいるが、気に入らない人物を見ると意見を変えるというのもしばしばあることだ。私は、発表された構図がトルコを早期選挙に導く可能性があると見ている。これが、国会から辞職させられたことで形作られた困難なのか、それともより社会的な圧力が作ったものであるのか、与党が自身を強化するために選挙を望んでいるのかも、プロセスの中でわかるだろう。結成される2党は、トルコを早期選挙に導きうる」と話した。

■オズキラズ氏:ダヴトオール氏には3.5~4ポイントの基盤の支持がある

新たに明らかになった政党が与党に「多かれ少なかれ」影響を与えうるとするユーラシア調査社のケマル・オズキラズ社長は、自社の調査によると、ダヴトオール氏は3.5~4ポイントの基盤の支持を獲得するだろうという。

オズキラズ氏は、この支持の大部分を占めるのは6月24日の選挙でAKPとレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領に投票した有権者で、一部は至福党とMHPに投票した有権者であると述べ、「ダヴトオール氏の得票とは別に、AKPの組織力を弱体化させる別の勢力がある。ダヴトオール氏が党首を務めた時代に共に働いていたチームは、AKPの組織内で未だに活動している人々であり、彼らは概してアカデミックな方向で力を持っていて、政治プロパガンダについて深い知識を持っている人々だ。彼らの離党は、AKPの実地での活動に必ず影響を与える」と述べた。

■「ババジャン氏の負担はダヴトオール氏のものよりも少ない」

「アリ・ババジャン氏の負担はダヴトオール氏のものよりは少ない」と述べるオズキラズ氏によると、ババジャン氏はAKPの有権者からより多くの票を獲得しうるという。オズキラズ氏は、ダヴトオール氏が獲得しうるのはAKPの有権者からの票のみだが、ババジャン氏は、多くはAKPではあるものの、その他の政党からも票を獲得しうると述べ、次のように続けた。

「両党にとって、足切り条項は問題ではないだろいうということは容易に理解できる。なぜなら、今は連合があるからだ。実際に得票数が10%以下となることも想定される中で、結党の決断を下した最も重要な理由は、連合の存在だ。善良党のメラル・アクシェネル党首の外遊時の彼らの発言に端を発し新たな右派連合ができるのではないかと、私は予測している。アクシェネル党首は、『我々は反対する側からの票を得ることはできない。透過性はない』と言った。善良党の党員周辺もこの理由として、CHPとの連合によって左派と見られていると長い間訴えている。」

■「善良党、ババジャン、ダヴトオール、至福党、民主党からなる新たな右派連合」

「最近では、善良党の理想派民族主義の有権者を対象とみなす兆候もかなりある。私は、善良党の意図は、右派連合の中の理想派民族主義政党として、少しでも野党の理想派の票を集ようとしていると見ている。善良党、ババジャン、ダヴトオール、至福党、そして民主党(DP)の新たな右派連合で選挙に臨むだろうと考えている。共和連合は、新右派連合とともにCHP単独、HDP単独で選挙に挑むだろう。この状況で右派連合は20%以上の票を獲得しうる。なぜなら、AKPとMHPからの移行が加速しうるからだ。私の言っているようになれば、AKP政権は必ず終わりを迎える。」

■「目的は50+1%の大統領制を利用すること」

ゲズィジ調査会社の創設者、ムラト・ゲズィジ氏は、同社の調査によるとアブドゥッラー・ギュル氏のチームとダヴトオール氏の合計得票率は1.7%となり、そのうち82%は善良党に投票する人々の票からなると述べた。

ゲズィジ氏は、「この2党は、AKPの代替物ではなく、善良党の代替物だ」と述べ、「新たに結成される政党の目的は、完全に50+1システムを利用することだ。つまり、彼らは議会制を主張する大衆ではない。同時に、単独で与党となる望みを持つ存在でもない。彼らの目的は、完全に50+1%の大統領制を利用することだ。彼らの目的は「30%を獲得し、政府を運営しよう」ではなく、大統領制において有権者らを考えることに駆り立て、関心を引くことである」と話した。

■「エルドアン大統領の反対勢力を通して形成」

ゲズィジ氏は、新たな大統領制がもたらした「50+1」%が人々への依存を増加させること、議論を続ける政治的空気を醸成していることを述べ、「二極化と二分化における非常に深刻な危機が起こりうる。この二極化を、野党がエルドアン大統領の反対勢力を通して行いつつ成長させようとしていることがわかる」と述べた。

ゲズィジ氏は、人を通して政治を行うことは民衆への裏切りだと述べ、「しかし、私はこれをトルコ共和国の民衆への裏切りだと思っている。なぜなら、1人の人物を通して政治を行うことを考える際、その国で懸念を持つ必要があるからだ。民衆は二極化され、この二極化は多くの問題の引き金を引く」と述べた。

ゲズィジ氏は、有権者のプロフィールが変わったと述べ、「世界で2010年以降設立された企業が世界のトップ20に入っている。これらの企業はだれが成長させたのか。期待を変えた消費者が成長させたのだ。トルコでも2010年以降、有権者のプロフィールが変わった。影響の受けやすさと嗜好が変わった。この有権者の嗜好に1つさらに新たな要素を加えているのだ、野党は。これも、エルドアン大統領の反対勢力を通して形作られている。野党は、どのように何をうまく行うかに言及しないまま政治を行っていると見られている。この中で新たな政党の結成も続いており、今後も続くだろう」と話した。

■「4年間で1つもツイートをしなかった」

ゲズィジ氏は、新党はレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領を批判しつつ政治を行うだろうと述べ、「ダヴトオール氏とギュル-ババジャンチームを見ると、トルコでこの4年間に1つも批判を行っておらず、何も提起しておらず、何を改善すべきかを世論に語ってもおらず、4年間で1つのツイートも投稿していない。そして今、日和見主義的に新党を結成している」と述べた。

ムラト・ゲズィジ氏は、「トルコの民衆は喜びや悲しみ、幸福を、ヤマ場で経験する国民だ」と述べ、次のように続けた。

「向かい側にリーダーを望み、見ることを望む。現在世論で話されている、政党を結成した、またはすると話している人物らのリーダーシップの質が非常によいものではないこと、社会の側から認められた人物ではないことを、私たちはわかっている。AKPから今辞めさせられた人々は、より早く行動を起こしえたことは確かだ。例えば6月24日、または3月31日の選挙以前に行動を起こすこともできた。そのため、適切な時に立ち上がらず、エルドアン大統領は新たな組織の中にいる人々に距離を置いた。」


■「現在浮動票は多くない」

ゲナル調査会社のイフサン・アクタシュ取締役によると、政治的環境は安定しているという。アクタシュ氏は、9月12日のクーデター未遂後や2000年代のような根本的な投票先の再編が起こっている時代ではないと述べ、新たに結成される2党がトルコの政治に与える影響について、以下のように述べた。

「政党は意図して10年後何かがあることを目標としうるが、現在の政治的環境をひっくり返す社会的な軸のシフトには見えない。新党は小さなピリオドとコンマで始まる。AKPが40%以上、CHPが25%以上の票を持っている。民族主義系諸政党は10%ずつの票を持っている。そのため、現在の政治状況において、浮動票は多くない。我々が生きているのは、社会が大きな模索の中にいる時代ではないのだ。安定した時代におり、新たに結成される政党の根本的な転換は、世論の大きな支持を形成できないだろうと私は考えている。なぜなら、既存のトルコの大政党は自分たちの票を手放さないからだ。この国の最大の政党は未だ与党である。なぜ人々が与党を捨て、他の政党に向かうだろうか?今与党を捨て、15年後の与党となる政党に 移ろうというのは、非常に賢明なこととは思えない。」

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:47548 )