エジプト:ルネッサンス・ダムが原因で水不足
2019年10月09日付 al-Quds al-Arabi 紙
エジプトはルネッサンス・ダムが原因で、水不足の段階に入ると発表 他国の仲介を待つ
【ターメル・ハンダーウィー:本紙:カイロ】
グランド・エチオピアン・ルネッサンス・ダム(以下、ルネッサンス・ダム)に関する3国間交渉は行き詰まり状態だ。そのためエジプト政府は、エチオピア政府との決裂の詳細と、エジプト国民が直面する危機への対応計画の発表を強いられた。国会での演説を通して、現在に至る交渉の経緯が発表された。
エジプトのサーミフ・シュクリー外相は「エチオピア側は強気な姿勢を見せ、エジプト国民1億500万人の権利を守りつつ、開発におけるエチオピアの権利を擁護するというエジプトの精力的な動きに応じなかった」と述べ、昨日水曜日(9日)の国会で「エチオピアは、ダムの長期的な 貯水に係る諸規則を議論する用意があると発表したが、これは2015年にハルツームで署名した原則宣言への明白な違反行為である」と発言した。
同様に、エジプトのムスタファ―・マドブーリー首相は「エジプトは各々が同意できるよう仲介者による介入を求める。エチオピア側とのルネッサンス・ダムの交渉の行き詰まりを解消するためだ。行き詰まりの背景には、前回の交渉の際、エチオピア政府が高圧的な姿勢を見せたことがある」と述べた。
マドブーリー首相は「エチオピアは2011年に、ダム建設の開始を一方的に発表した。当時のエジプトの混乱状態(1月25日革命を示唆)を利用したのだ。」と明らかにした。
同首相は「今日のエジプトは、水不足の国際的な定義に則ると、水不足と言われる段階に突入した」と強調し、「国際的な定義に則れば、人口一人当たりの水資源利用可能量が年間1000立方メートルを下回る場合、国家は水不足の状態にある」と主張した。
一方、エチオピアの水・灌漑・エネルギー省は、毎年400億立方メートルの放流などルネッサンス・ダム関連のエジプト側の提案が、両国間の争点になったと明かした。
エチオピアはエジプトの提案を拒否した。ダムの建設は死活問題で、国家主権に関わる問題であるためだ。同省は、この提案がエチオピアの定めるレッド・ラインを越えたものだ、と明らかにした。
同省は、ダムに関するエジプトの新たな方法は拒絶であり、3国間の技術的な議論を進めるという名目は立たない。2015年に3カ国が署名した合意にも違反すると述べた。
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( 翻訳者:中鉢夏輝 )
( 記事ID:47769 )