イスラエル:世紀の取引に期待の声と疑いの眼差し
2020年01月24日付 al-Quds al-Arabi 紙


■イスラエルの目から見た「世紀の取引」:貴重なチャンスか安っぽい策略か?

【ナザレ:ワディーア・アワーウィダ】

イスラエルの世論は、「世紀の取引」とその隠された動機について疑念を抱いており、「世紀の取引」を政治的な策略とみなしている。また、この背後には選挙戦を間近にして政治的困難の渦中にあるふたりの指導者がおり、(同状況下で)複数の右派潮流がこの機会を逃さぬよう呼びかけたと捉えている。またこれらの右派潮流の一部は、米国の計画の一環である「武装解除されたパレスチナ国家」という考えを拒絶した。

報道界は、ネタニヤフ首相が「世紀の取引」(またこれ以前には、アウシュヴィッツ解放を記念する式典)を支持することによって、汚職の嫌疑や追訴を避けるための免責取得に向けた奔走といった自身の選挙アジェンダを、自身のために得点を稼がせるような主権移譲の問題や政治的問題に転換することに成功したことを指摘した。イスラエルにおいて自分自身を「平和的陣営」と認識している人々は、近日その内容が公表され始めている世紀の取引を、多くの疑念と疑いをもって受け止めている。その一方で、右派潮流は、世紀の取引に希望を懸け、同案がヨルダン川西岸地域からの撤収を定めないよう願っている。

占領国(訳注:イスラエル)の政治・報道界は、2日前から「世紀の取引」に関心を寄せている。これに先立ち、米国のドナルド・トランプ大統領は、近日ワシントンで開かれる、占領国政府のベンヤミン・ネタニヤフ首相および野党連合のベニー・ガンツ代表との会合の直前に、同和平案の内容を全面的に公表すると宣言していた。両氏は木曜日、米国からの招待を受けていた。

前イスラエル外相で「ジュネーブ合意」の立役者のうちのひとりであるヨッシー・ベイリン博士は「平和問題が再び政治的議題の中心を占めるようになったことは幸いだ」と述べている。しかし同氏は、その公表や詳細公開のタイミングをふまえ、世紀の取引に関する疑念を明らかにした。こうした疑念は、世紀の取引がイスラエル総選挙のおよそ1か月前に公開されたという事実に立脚するものである。

ベイリン氏は金曜日、ニュースサイト「Yネット」における以下の発言を通じて、同氏が抱えている疑念の理由を示した。「論理的にいえば、ホワイトハウスが選出された首相およびパレスチナ指導部と会談できるようになるためにも、第一に政府を形成することが必要だ。しかし、それは果されていないことだ」。同氏は以下のように続けた。「『世紀の取引』が地理的な譲歩を含んでいた場合、その時ネタニヤフ氏は右派ブロックとの間で大きな問題に直面することになるだろう。一方で、この米国による計画が譲歩策も撤収策も規定していなかった場合は、誰ひとりこの計画を本気では受け止めず、紛争当事者の両者が合意に至る可能性を考慮することもないだろう」。

(後略)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:了源康平 )
( 記事ID:48481 )