モロッコ:アラブの「ブッカー賞」最終リストはマラケシュより(完全版)
2020年02月04日付 al-Mudun 紙


■2020年アラブの「ブッカー賞」最終候補リストはマラケシュより(完全版)

【本紙】

2020年アラブ小説国際賞(IPAF)選定委員会は今日(4日)、第13回目の受賞候補小説の最終リスト(ショートリスト)を公表した。発表はモロッコのマラケシュにある水文明博物館で開催された記者会見で行われた。

以下が、2020年のアラブ小説国際賞の最終リストに残った小説のタイトルである。作家名のアラビア語アルファベット順で記載されている。

(『作品名』作家/国/発行元)
-『サラエボの薪』サイード・ハティービー/アルジェリア/マンシューラート・イフティラーフ
-『インドの王』ジャッブール・ダウウィーヒー/レバノン/ダール・サーキー
-『ロシア地区』ハリール・ルズ/シリア/マンシューラート・ディファーフ
-『ファルダカーン』ユースフ・ズィーダーン/エジプト/ダール・シュルーク
-『スパルタの宮廷』アブドゥルワッハーブ・イーサーウィー/アルジェリア/ダール・ミーム・リルナシュル
-『タンキー』アーリーヤ・マムドゥーフ/イラク/マンシューラート・ムタワッシト

第13回受賞の最終リストは、アラブ諸国5カ国を出身とする男性作家5人と女性作家1人を含み、彼らの年齢は34歳から75歳まで分布する。

今年の最終リストに残った2人の作家は、以前にも受賞候補であった。ジャッブール・ダウウィーヒー(第1回目/2008年に『6月の雨』、2012年に『ホームレス』で最終リストとなり、2015年に『アメリカ地区』で第一次候補リスト(ロングリスト)でノミネート)とユースフ・ズィーダーン(2009年に『アザーズィール』で受賞)である。加えて、作家のアブドゥルワッハーブ・イーサーウィーは、2016年度セミナーに参加し、それは才能豊かな青年作家らによるワークショップセミナーであった。

イーサーウィーの小説『スパルタ宮廷』は、オスマン政権の衰退に伴い、フランスが侵略を決行した当初のアルジェリア社会の日常と歴史を、2つの出来事に対する見解が交差する5人の中心的人物の人生を通じて、詳細に追求している。一方、ハリール・ルズの小説『ロシア地区』は、戦争に巻き込まれたダマスカスのある地区と、戦争と暴力が心理レベルと社会的意識に及ぼす影響を、個人と社会の枠組みから描写している。さらに、ジャッブール・ダウウィーヒーの『インドの王』は、内戦と宗派戦争に明け暮れるレバノンで自分自身の運命と祖国の運命に対峙し、家族に避難を求め、救いの場としての村に帰る主人公を描いている。
サイード・ハティービーの小説『サラエボの薪』は、ヨーロッパであれ北アフリカであれ、地域のいかんを問わず、戦争が悲惨であり、それが知識人という敏感な階層に影響を及ぼし、反戦の試練を与えることを描写した作品である。また、アーリーヤ・マムドゥーフの小説『タンキー』は、バグダードの文明史と現代の都市形成を考察している。さらに寛容に他人と共存する道も探っている。ユースフ・ズィーダーンの小説『ファルダカーン』は、勤勉な知識人と権力の関係を解き明かす作品である。イブン・スィーナーを題材にして、歴史書から欠落した彼の生涯の細部に迫っている。

モフシン・ムーサウィー審査委員長は、「候補作品は、文体面でもテーマ面でも多様なテキストから選りすぐられたものだ。その多くは、小説としての体裁に伴う伝統的な縛りから脱している。全体として、歴史と現代の現実をただ語るのではなく、むしろその(歴史と現代の現実)厳しさに直面し、読者にアラブ人の運命を考えるきっかけを与えている]とコメントした。
(了)

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( 翻訳者:馬場響 )
( 記事ID:48531 )