シリア:シリア政府軍とトルコ軍の戦闘に伴い避難民の数は激増
2020年02月12日付 al-Quds al-Arabi 紙
■エルドアン氏「たとえどこにいようと、我々はシリア政府軍を攻撃し、その戦闘機がイドリブ上空で活動することを阻止する」
【本紙の複数本部・支部:ヒバ・ムハンマド】
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、一週間以内に13名のトルコ人兵士がシリア政府軍によって殺害されたことを受け、シリア政府に対する最終警告ともとれる発表を行った。エルドアン大統領は、「イドリブで市民を爆撃している(シリア政府軍の)戦闘機は、これまでのようには自由に活動できないであろう」と発言した。
さらに同氏は「皆がイドリブで起きている悲劇を無視しているが、トルコはイドリブで進行していることに関して沈黙を続けることはない」と付言し、「トルコ人兵士の血が流された場所では、誰一人として安全圏にいることはないであろう」と発言した。またロシアを槍玉に挙げ、同国軍がシリアで多数の虐殺に手を染めていると非難した。シリア人権監視団が昨日報じたところによれば、シリア政府軍は同時期、シリア北部のアレッポと西部のダマスカス間を結ぶ国道の周辺地域に進出していた。またこうした動きは、政府軍が2012年以降初めて同道路の完全掌握を達成した翌日になされたという。またシリア政府軍は、アレッポ西部郊外における支配を大規模に拡大した。一方でアレッポ北部では、人々による集中的な避難の動きが見られ、ある人道組織はこれを「この我々の世代における最悪の戦争のなかの最大規模の避難行動」と表現した。
シリア問題を注視する人々は、トルコはシリア政府・ロシア・イランが引き起こしている違反・侵害行為に対する(シリアにおける)対応能力を強化するため、欧米諸国からのより一層の支援を期待しているものと考えている。アナトリア通信によると、これに関連し、トルコを訪問している米国のシリア担当特使ジェームズ・ジェフリー氏は「アメリカ合衆国は、北大西洋条約機構(NATO)に所属する同盟国であるトルコを支持している」ことを示した。
現状と(希望的)観測の狭間で、米国の国家安全保障問題担当大統領補佐官のロバート・オブライエン氏は、セミナー中の発表で「世界の警察の役割を果たし、攻撃を止めるためにパラシュートでイドリブに降り立つことが我々に求められているのだろうか」と述べた。
シリア人権監視団は、「アレッポ西部郊外に位置するアタリブ市はほぼ完全に無人になった。同地域における他の町村も同様である。その前には何十万人もの住民と避難民が他の地域からアタリブ市に避難していた」と述べた。
ノルウェー難民評議会は水曜日、シリアの北西部で軍事行動の激化が続いた場合、およそ9年前にシリアで紛争が勃発して以来「最悪の人道危機」になると警告した。
ノルウェー難民評議会のヤン・エグランド事務総長は昨日「これは、この我々の世代における最悪の戦争のなかの最大規模の避難行動だ」と述べ、「イドリブは世界最大の難民キャンプであり、(中略)そこではあらゆる攻撃が何百万人もの女性・子どもたちの生命を危険に晒している」と指摘した。
(後略)
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( 翻訳者:了源康平 )
( 記事ID:48564 )