イラク:「ズルフィー新内閣」に対する多くの政治勢力からの反発
2020年03月19日付 al-Quds al-Arabi 紙


■イラク:マーリキー氏、ズルフィー新内閣の成立を阻止するために政治運動を率いる

【バグダード:本紙】

「法治国家」連合の指導者であるヌーリー・マーリキー氏は、バルハム・サーリフ共和国大統領が「勝利」連合指導者のアドナーン・ズルフィー氏に新内閣の組閣を指示したことに反対する最大数の議員を集めるべく、動員を行っている。こうした動きは、イラク国民議会においてズルフィー内閣に信任を付与されることを妨げるものになることが予想される。

事情に通じた情報筋によると、ズルフィー氏に対する組閣指示がなされた前日の夕方、マーリキー氏は、首都バグダードの自宅でシーア派の複数政治ブロックに属する多数の指導者と面会していた。ズルフィー氏による組閣を拒否するよう、彼らを説得することが目的であったという。

本紙の情報筋は、「ズルフィー氏指名に反対する複数ブロックの議員数は現在までに120名に達しており、彼らはマーリキー氏に率いられている」ことを明らかにした。また同筋によれば、次期内閣において自身の地位が得られなかった場合、スンナ派とクルド人からも複数の議員が同様のグループに加わる可能性がある。これが実現すれば、国民議会におけるズルフィー内閣の承認がより困難になることが予測される。

実際に、「征服」同盟、「法治国家」連合、「国民の結束」連合、「国民の道」連合は、ズルフィー氏指名に対する拒否を宣言し、サーリフ大統領が最大ブロックからの候補の指名を拒んでいることについて「公然たる憲法違反である」と非難した。また、「国内の平和を脅かし国の秩序を瓦解させるような」影響が生じるとして警鐘を鳴らした。

ズルフィー氏に対する拒絶は、様々なブロックにおいて共通項になった。というのも、アンマール・ハキーム氏率いる「ヒクマ」潮流が、ズルフィー氏の指名に際してサーリフ大統領が利用した制度に対する異議、またこの指名において採用された手段に対する警戒を表明したからだ。同潮流は、サーリフ大統領を「政界における重要数の基盤勢力に対し無関心である」として非難している。

こうした背景によって、ズルフィー氏指名に反対する政治連合は、国民議会において117名の議員を擁している。いまだスタンスが未確定であるクルド人およびスンナ派の議員はもちろんのこと、「分散した」ブロックや議員らがこれに合流することで、その数が増加する可能性もある。

これらの政治勢力は、議会最大ブロックからの候補者を顧慮しないままに共和国大統領が首相を指名した際の手段となった「制度」を拒絶しており、この行為を憲法と法に違反するものとみなした。

しかしイラク最高裁判所は昨日、首相職に任意の候補者を指名できる「特権」はサーリフ大統領が有しているとの判断を下した。これに先立ち、以前に首相として指名されていたムハンマド・タウフィーク・アッラーウィー氏は、遺憾の意を表明していた。

上記の決定は、(首相)指名権の正当性を最大ブロックから共和国大統領へ移すことに関するサーリフ大統領からの問い合わせへの回答として、最高裁判所が発行した文書の内容に基づくものである。

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( 翻訳者:了源康平 )
( 記事ID:48696 )