イスラーム哲学:イブン・ルシュドのガザーリーへの痛烈な反論(3)
2020年06月17日付 al-Quds al-Arabi 紙
■哲学:イブン・ルシュドがガザーリーを論破する
【本紙:アズィーズ・ハダーディー】
実際、ガザーリーの本は、アシュアリー学派の深淵な思想体系の概略の言及に甘んじている。この学派によって、基本的な認識論が生まれた。この認識論は「驚くべきことに長きにわたり不変で、20世紀末に於いてもなお軍の派遣や動員を可能にしている。」また彼は、アラブ人の思想を行き止まりへと導いた神学的概念の限界をも認識していた。つまり、彼は真理を尊重していなかったので哲学界の間でもがき続けた。なぜなら真理が引き起こす恐れは、すなわちイデオロギーの迷宮にはまり込むことで、イデオロギーという武器が哲学者を死へ追いやるからである。しかし、イデオロギーが「哲学(そのもの)」を殺すことはできなかった。ガザーリーの関心は、哲学そのものが目的ではなく、イデオロギーが目的だった。これこそ本のタイトルが『哲学者の矛盾』であって『哲学の矛盾』ではない理由である。対立を擬人化することはイスラームに迷信と神話の服を着せて悪用したイデオロギー論争の特徴の一つである。しかし、ほとんどの場合、うまくいかなかった。衰退の時代にイデオロギー論争を取り入れ、理性を軽蔑し科学的思想を打ち砕いた過激な運動が目覚めたことで、イスラームが権力のために争う神権政治に変わってしまった。
(4)に続く
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( 翻訳者:藤原路成 )
( 記事ID:49373 )