イスラーム哲学:イブン・ルシュドのガザーリーへの痛烈な反論(5)
2020年06月17日付 al-Quds al-Arabi 紙
■哲学:イブン・ルシュドがガザーリーを論破する
【本紙:アズィーズ・ハダーディー】
この本は意のままに書かれたことを思い出してほしい。その証拠に、彼はこの本を短期間で書き上げた。イデオロギーの批判だけでよかったからだ。彼が哲学を批判するために参照したものはイブン・スィーナーの『救済の書』だけで、これは『治癒の書』の要約版に過ぎない。イブン・ルシュドはこの危険性を何度も指摘している。彼は、ガザーリーが哲学者の言葉をでっちあげ、彼自身も矛盾に陥っていることに気がついた。この本に必要な条件は、彼が真理を尊重しないことだけで十分だった。神学の探究者であるガザーリー自身が真理を尊重していないがために、欺瞞と破壊が目的で、構築が目的ではない詭弁に陥り、金儲けが目標となってしまった。ガザーリーは金銭と権力者の贔屓に目がくらんでしまったのだ。『宗教諸学の再興』を書いた時、彼は確かにイスラーム学の大成者と呼ばれたが、『哲学者の矛盾』を書いた時には哲学者の意図にためらい続けた。ゆえに彼は哲学者たちを不信心者だと非難しても、イスラームの地から哲学を消し去ることができなかった。なぜなら、思想の論争はイデオロギーの論争よりも強力で、哲学が詭弁に敗北することなどあり得ないからだ。
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( 翻訳者:藤原路成 )
( 記事ID:49375 )