レバノン:シリア語を話すあのムスリムの町(1)
2020年07月04日付 al-Mudun 紙

■シリア語を話すあのムスリムの町(1)

【レバノン:ムハンマド・ハッジーリー】

最近、私がベッカーのとある建築現場で出会った左官職人たちは、アルサール市周辺のシリア人国内避難民のキャンプからやってきた面々で、私が予想だにしないような言葉を話しているようであった。部族の言葉でもベドウィンの言葉でも、民族的な言葉でもない。私はこの言語や話していることに関する秘密を知りたい、そのような好奇心にかられた。それは、あたかも彼らのアイデンティティが皆目見当のつかないような瞬間であった。

私はまず、彼らがアラブやイスラームに属する者たちだと思っており…彼らの一人、現場監督に尋ねてみた、「何語で喋っているんだ?」と。「シリア語さ」と彼は言った。私は少し考え込んだ。どのように、そしてなぜ。あんたたちはシリア正教徒なのか、或いはシリア正教徒の中で暮らしているのか?すると、バッシャール・アサドの樽爆弾から逃れてきたこの労働者は、私に対してシリア語への愛着やその起源、この言葉を話す人々、そして彼の人生について説明し始めた…。

彼はバフア市、あるいはサルハの集落出身だと言った。そこの大多数の住民、というよりはむしろ全員がムスリムだがシリア語を話すという。同市はイエス・キリストの言語、つまりアラム語が話されているシリアのマアルーラ市からほど近い場所に位置している。「あんたたちはかつてキリスト教徒だったが、イスラームに改宗したのか?」そう尋ねた。彼は答えた、「ちがう」と…しかし彼の答えに私は納得しなかった。多分この労働者は知らないし、知りたいと思わないのだ、種々の宗教が勢力を伸ばし、シリアやレバノンにおけるシリ正教徒を減少させた荒波の中で起きたコミュニティの変化を。

「あんたはバフアの住民の言葉を少しは理解できるかもしれないね、バフアの言葉にはアラブっぽい面がいくつかあるから。でも、シリア正教徒の住むジャブアディーン市の言葉の方がもっと本来のシリア語に近いようだよ…」他の労働者が私にそう言った。

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( 翻訳者:片居木周平 )
( 記事ID:49500 )