レバノン:シリア語を話すあのムスリムの町(2)
2020年07月04日付 al-Mudun 紙

■シリア語を話すあのムスリムの町(2)

【レバノン:ムハンマド・ハッジーリー】

(1)の続き

もちろん修道院や修道女、イコン画で有名なマアルーラではアラム語が話されていることは知っていた。しかし、シリアの町で住人がイスラームに属しシリア語を話していることには驚いた。そして、このことは以前我々が書いたトルコの「ムスリムのアルメニア人」を思い出させた。「ムスリムのアルメニア人」という矛盾のなかで、「ヘムシン*」が暮らす地域の住民の一部はムスリムであるにも関わらず、アルメニア方言、それに加えてアルメニアの偶像崇拝の伝統も維持してきた。しかし、この集団の大半はアルメニアとの繋がりを拒否し、アルメニア人の子孫であることを否定する。この意味において、イスラームに改宗したが本来のアルメニア語を保持していることアルメニア人を発見するのは並大抵のことでない。ヘムシンは独特な状況を生み出している。トルコ当局が、ヘムシンのアルメニア的なルーツを否定するのに躍起になっている一方で、周辺のコミュニティでは彼らをイスラームに改宗したアルメニア人として記憶している。「ムスリムのシリア語話者」について調べるため、私は「グーグルおじさん」に助けを求めた。「おじさん」が言うには、アラム語或いはシリア語はイスラームとアラビア語が広まった際に大きく衰退したそうだ。

勿論、アラブ人とアラム人や(シリア語を話す)シリア人との間には互いの痕跡も類似点も数多く存在している。この集団から、シリアでは三つの町が生き残った、つまりマアルーラとバフアとジャブアディーンが今も存続しているのだ。これら3つの町では現代アラム方言が話されており、アラム語パレスチナ方言またはアラム語ダマスカス方言と称している。また他のサイトには「バフア町の中心には打ち捨てられた歴史的な教会があり、聖アンドレ教会と知られている。同教会には寄進された財産があり、それをギリシア正教の住民がマアルーラに移り住む前に利用していた」と書かれていた。

*へムシン:主にトルコに存在する、イスラームに改宗したアルメニア人の呼称。

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( 翻訳者:片居木周平 )
( 記事ID:49501 )