エジプト:コロナ禍でプラス成長の政府と困窮する市民たち(1)
2020年09月26日付 al-Quds al-Arabi 紙
■エジプトにおける市民の経済的苦難と政府の財政規律
【イブラーヒーム・ヌンワール】
エジプト政府は、2014年から現在までIMF(国際通貨基金)との連携のもとで実施してきた経済改革に対する評価を受け、IMFから際立った称号を得た。IMFはこれまで、(エジプトが)経済的損失を最小限に抑えつつ、新型コロナ危機に対応するのを支援してきた。そのため、新型コロナとの戦いやガス価格の崩落、ほとんどの観光業の停滞、そして外国人投資家による資本の大規模な流出といった困難にもかかわらず、エジプト経済はデフレを回避しプラスの成長率を達成することができた。しかしその一方で、幅広い社会階層の市民たちは経済的困窮の増大を感じており、公式・非公式のプラットフォームを通じて不満の声を上げている。理由は様々だが、その最たるものは税負担の厳しさ、実質所得の減少、物価の急速な上昇に対して賃金・年金の増加が鈍重であること、労働市場の縮小、そして不況と公共サービスの質の悪さである。
IMFは政府と同様にこのことを把握しており、80億ドルに相当する2つの金融支援策を講じた。ひとつは緊急用のもので、新型コロナウイルス対策にあたって必要な資金を融資することを目的とした。また2つ目は、政府の「経済改革」計画の続行を支援するもので、同計画が頓挫し、これまでにすでに達成された成果が失われるのを防ぐことを目的とした。また政府は今年の上半期、複数の銀行・国際融資機関から債券と融資の形で170億ドル以上を調達し、3月・4月中の外国人投資家の市場からの撤退による損失(IMFの算出によれば約160億ドルにおよぶ)を補填した。
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( 翻訳者:下宮杏奈 )
( 記事ID:49944 )